2006 Fiscal Year Annual Research Report
陽子線励起X線を用いた造影剤注入量と被ばく線量の少ない透視撮影技術の開発
Project/Area Number |
17300170
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
小栗 慶之 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 助教授 (90160829)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 純 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 助手 (90302984)
小川 雅生 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 教授 (60016863)
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Keywords | 医療・福祉 / X線診断 / ヨウ素造影剤 / 特性X線 / 陽子線励起X線放出 / 画像コントラスト / Energy subtraction法 / 静電加速器 |
Research Abstract |
今年度は陽子線励起準単色X線を用いた高コントラスト造影剤撮影法のアイデアを実行に移すため,厚い金属ランタン(La)標的に陽子線を照射して33.4keVのKαX線を発生し,ヨウ素(K吸収端==33.2keV)造影剤を充填したアクリル製ファントムの透視撮影を行った.ファントムには骨を摸擬したCa化合物も充填した.比較のためにスズ(Sn)標的を用いて25.2-keV KαX線を発生し,バックグラウンドとなる生体軟組織と骨の相対的画像強度を強調した撮影も行った.SnとLaは重元素であり,K殻電離には高いエネルギーが必要であるため,照射には筑波大学12UDタンデム加速器からの7MeV陽子を用いた. まずCdTe検出器を用いてX線スペクトルを測定した.得られたスペクトルとヨウ素,生体軟組織,骨の吸収係数のX線エネルギー依存性を比較検討したところ,Snに比べ,LaのX線を用いるとヨウ素造影剤による吸収が相対的に大きくなり,生体軟組織や骨との吸収係数の差を非常に大きくとれることが分った.次にこれら2種類のX線エネルギーで実際にファントムの透過画像を撮影した.撮影にはイメージングプレートを用いた.得られた画像から,La標的を用いた方がSnの場合に比べてコントラストが明らかに高いことが分った. さらにEnergy-subtraction法,すなわちLa標的のときの画像からSn標的のときの画像を差し引く手法により,造影剤の像のみを鮮明に抽出することができた.これによりバックグラウンドとなる骨の像を消去でき,骨の裏(表)側にある血管も鮮明に観察できる見通しが得られた.臨床で用いられるヨウ素造影剤濃度は通常300-500g/cm^3であるが,この方法によればより低い濃度で十分観察可能であり,造影剤濃度を下げることによって患者への負担を低減できる可能性があることが分った.
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Research Products
(3 results)