Research Abstract |
今年度は最終年度に当たり,昨年までに製作したロボットの安全評価・精度評価をよりいっそう慎重に行って,システムの微妙な調整を再度行うとともに,滅菌操作,組み立て操作,磁石へのドッキング操作など,ボランティアによるより実際の臨床使用に近い最終段階のシミュレーション実験を繰り返し行った。また,実際に手術操作を行う術者が,ロボットの状態(動作モード,超音波モータの動作状況,可動範囲内にあるかなど)をディスプレー上で把握できるように,ソフトウェアの改良を行った。学内倫理委員会の承認に基づき,患者さんから十分なインフォームドコンセントを書面で得た上で,本研究課題の当初の計画通り,2例の肝腫瘍症例に対してロボットを使用したMRガイド下マイクロ波治療を行った。ロボットは指定したターゲットを正確に追尾し,有効かつ安全に動作させることができた。マイクロ波治療では,複数回の穿刺と凝固を繰り返すが,次の穿刺位置をロボットに指定することで,手術操作は非常に円滑に進められ,2例とも無事手術を終えることができた。これらの初期経験について,日本磁気共鳴医学会,日本コンピュータ外科学会などで発表を行うとともに,2008年5月,トロントで開催される国際磁気共鳴医学会にも演題が採択され,発表を行う予定である。同時に論文投稿の準備も進めている。2症例とも腫瘍は外側区域にあり,前方からの穿刺が行える部位であった。様々な部位にロボットを適用できるよう改良を行い,より広範な症例の治療に応用していく予定である。
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