2006 Fiscal Year Annual Research Report
小型陽子加速器で発生する中性子を直設用いる中性子捕捉療法用照射場の開発
Project/Area Number |
17300172
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
古林 徹 Kyoto University, 原子炉実験所, 助教授 (90089136)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
星 正治 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 教授 (50099090)
田中 憲一 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 助手 (70363075)
影治 照喜 徳島大学, 医学部脳神経外科, 講師 (70294684)
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Keywords | 中性子捕捉療法 / 小型陽子加速器 / 直接中性子 / 照射システム / 7Li(p,n)7Be反応 / バッキング材料 / TPD法 / BDE法 |
Research Abstract |
広島大学・原爆放射能医学研究所のHIRRACを用いて、実験研究を行った。HIRRACの利用制限に直面した後は、中性子発生ターゲット周辺の中性子挙動のシミュレーションによる特性評価の精度向上、より実現性の高い液体リチウムターゲットについて検討を行った。 (平成18年度に行った研究内容) (1)HIRRACを用いた7Li(p,n)7Be反応しきい値近傍反応を想定した1.9MeVの陽子線によるバッキング材からのγ線発生の少ない物質について予備実験を行い、タングステン、モリブデンの発生ガンマ線が銅やアルミニウムより少ないことを確認した。 (2)リチウムターゲットの厚さをパラメータにして、ターゲットから発生するガンマ線と中性子の厚み依存性を模擬計算で求めた。次に1.89〜1.92MeVの範囲で陽子エネルギーを0.01MeVずつ変化させて入射させた場合の模擬計算を実施した。なお、中性子照射場の計算結果は、我々が提唱してきたTPD(Treatable Protocol Deapth)法とBDE(Boron Dose Enhancer)法によって、模擬計算で得られた中性子照射場の特性を評価した。 (平成19年度に平成18年度分の繰り越し分によって行った研究内容) HIRRACを用いた実験から、タングステンに厚さ10μmの固体リチウム金属を付けた特性ターゲットが、150μAの1.9MeVの陽子線で数時間程度の実験(照射)により、リチウム膜がタングステンバッキング材から剥離していることが実験後確認できた。このことから、固体リチウムターゲットシステムは使用寿命の観点から実用に適さないと判断し、液体リチウムターゲットに関する、水を用いた液膜流形成に関する基礎的な実験検討を行った。250度の液体リチウムが常温の水とよく似た流動特性を持つことから、液膜形成に欠かせないノズル構造に関する基礎実験を、試作ノズルを作成して行った。液膜流は(1)幅50mm長さ50mm、(2)流速は30m/sを仮定し、水を用いて実験検討した結果、複数のノズルを直線状に配置したものと整流板を組み合わせたものが実現の可能性が高いことを確認した。
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Research Products
(3 results)