2006 Fiscal Year Annual Research Report
呼吸リハビリテーション手技の基礎的検証とその位置づけの確立
Project/Area Number |
17300180
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
黒澤 一 東北大学, 高等教育開発推進センター, 助教授 (60333788)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上月 正博 東北大学, 大学院医学系研究科, 教授 (70234698)
小川 浩正 東北大学, 高等教育開発推進センター, 助教授 (90361162)
色川 俊也 東北大学, 高等教育開発推進センター, 助手 (70375179)
飛田 渉 東北大学, 高等教育開発推進センター, 教授 (10142944)
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Keywords | 呼吸理学療法 / 口すぼめ呼吸 / IOS / 気道弾性特性 / α波 / 胸鎖乳突筋 / 周波数依存性 / 組織酸素飽和度 |
Research Abstract |
運動療法における至適酸素投与量を求める目的で、呼吸筋の組織酸素飽和度が指標にならないか実験を試みた。健常人とCOPD患者では、自転車エルゴメーター運動負荷時のヒラメ筋と大腿四頭筋の組織酸素飽和度の経過に差が見られた。これは主動筋と非主動筋の違いと判断される。呼吸筋である横隔膜での組織酸素飽和度測定を試みたが、非常に困難であったので、当初から考えていた呼吸補助筋である胸鎖乳突筋での測定でこれを代替することとし、計測を継続中である。骨格筋における酸素飽和度の経過とは異なっており、現在解析中であり、来年度の継続課題としたい。 口すぼめ呼吸のIOSを用いた換気力学的解析は、健常者とCOPDで行った。インピーダンスの周波数依存性はCOPDで顕著に見られ、口すぼめ呼吸でそれは緩和された。健常者でも口すぼめ呼吸での換気力学的な優位な変化がみられ、オシレーション法で確かめたCOPD患者での効果が健常者にもみられることを確かめた。COPD患者でも口すぼめ呼吸が奏功しやすいタイプが安静換気のIOSによって特徴づけられることがわかった。 口すぼめ呼吸を行っている最中の脳波の解析も健常人で試みた。口すぼめ呼吸でアルファ波の周波数偏移があり、心拍数が有意に減少していた。これらは口すぼめ呼吸による呼吸困難改善効果、パニックコントロールの機序と関連する可能性がある。アルファ波周波数偏移はこれまで予想された現象であったが、脳波を仔細に検討するとアルファ波以外にも変化している周波数帯があり、さらに解析が必要と思われた。 用手的呼吸理学療法について、COPDで効果の持続を検討した。用手的呼吸介助手技後、肺気量減少の急性効果は自覚的には一日の単位で続いていたが、肺気量としてみると平均して3時間で元のレベルに回復することがわかった。ただし、持続時間には個人差が大きく、どのような人に効果があるのかを今後は検討することが重要と思われた。 呼吸体操については、「仙台市呼吸リハビリ体操」を作成し、一般に公開して、特に仙台市民に対して教室を行うなどを通して親しんでもらった。現在、その改良版を作成中であり、体操後の感想で呼吸困難などの症状の改善が有意になるようであれば、その機序を解明する目的で換気力学的検査にすすめる予定である。
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Research Products
(7 results)