2005 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄損傷におけるオリゴデンドロサイトの細胞死メカニズムの解明と組織修復の試み
Project/Area Number |
17300190
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Research Institution | Research Institute, National Rehabilitation Center for Persons with Disabilities |
Principal Investigator |
緒方 徹 国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所, 運動機能系障害研究部, 流動研究員 (00392192)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 真一 国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所, 運動機能系障害研究部, 主任研究員 (30282560)
赤居 正美 国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所, 運動機能系障害研究部, 部長 (80143452)
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Keywords | 脊髄損傷 / オリゴデンドロサイト / 前駆細胞 / 細胞死 |
Research Abstract |
本年度は、まずオリゴデンドロサイト前駆細胞の初代培養系において、炎症性サイトカインであるTNF-aplhaをもちいた細胞死誘導を試みた。TNF-alpha 100ng/ml存在下で2日間培養することで約3割のオリゴデンドロサイトが死ぬことが確認されたが、実験遂行のためには不十分であるため、さらなる条件設定の改善が必要と考えられた。 培養系の実験と並行して、すでに知られている脊髄損傷亜急性期に生じる細胞死に関連して、ラット脊髄圧挫モデルを用いて細胞死に陥る細胞種の同定を試みた。米国PSI社Infinite Horizon Impactor 150kdynの圧力による損傷が中等度の運動麻痺を生ずると確認されたので、この条件下で損傷後7日目のcleaved Cspase3(細胞死の指標)を発現する細胞の表現型を免疫組織二重染色法で検討した。その結果、既報のようなAPC陽性成熟オリゴデンドロサイト・GFAP陽性アストロサイト・OX42陽性ミクログリア以外に、これまで報告のなかったNG2陽性グリア前駆細胞やnestin陽性未分化前駆細胞も細胞死に陥っていることが明らかとなった。また、損傷組織内の増殖性グリア前駆細胞が経時的に減少することも観察しており、様々な前駆細胞群の細胞死が、損傷脊髄組織再生が生じない一因になっていると考えられた。 今後は、増殖性細胞にのみ感染するレトロウイルスの特性を利用して、細胞死シグナルを抑制する遺伝子導入実験などを計画している。
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