2006 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄損傷におけるオリゴデンドロサイトの細胞死メカニズムの解明と組織修復の試み
Project/Area Number |
17300190
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
緒方 徹 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (00392192)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 真一 国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所, 運動機能系障害研究部, 主任研究官 (30282560)
赤居 正美 国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所, 運動機能系障害研究部, 部長 (80143452)
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Keywords | 脊髄損傷 / オリゴデンドロサイト / 前駆細胞 / 細胞死 |
Research Abstract |
前年度までの実験ではオリゴデンドロサイトの初代培養系によって炎症性サイトカインの細胞死誘導を観察していたが、実験の再現性に問題があった。この問題を解決するため本年度は、in vitroのオリゴデンドロサイトの細胞死実験系の見直しを行った。初代培養系に代わって株化細胞であるラットCG4細胞(オリゴデンドロサイト前駆細胞の株化細胞)に着目し、これを用いた細胞死誘導実験系を作成した。複数のことなる炎症性サイトカインの影響を測定したところ、これまで着目していたTNF-alpha以上にinterferon-gammaによる細胞死誘導能が高いことが観察された。 そこで、損傷脊髄内においてもinterferon-gammaがオリゴデンドロサイト前駆細胞の細胞死に関与しているかを検討した。損傷脊髄切片にinterferon-gamma受容体の抗体による免疫染色を行ったところ、損傷に応じて増加する炎症性細胞の他にオリゴデンドロサイト前駆細胞のマーカーであるNG2と二重陽性細胞が確認された。今後、ELISA、RT-PCRによって損傷脊髄におけるinterferon-gammaの発現パターンを確認することで、interferon-gammaによるオリゴデンドロサイト前駆細胞への細胞死誘導の可能性を検証していく予定である。 最終年度は細胞内への遺伝子導入による細胞死抑制を試みる。候補遺伝子としては抗アポトーシス蛋白として知られるBcl2ファミリー分子の遺伝子導入を検討している。また、株化細胞を用いた実験によりinterferon-gammaから細胞死にいたるシグナル経路を明らかにすることで、そのシグナル分子の阻害蛋白の導入、あるいはRNA干渉法によるシグナル制御も検討している。最終的にin vivoにおいてオリゴデンドロサイト前駆細胞の細胞死がinterferon-gammaシグナルを制御することで抑制することができるかを検証する。
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