Research Abstract |
1.本年度は,中学生を対象として,(1)足部形態計測,(2)足部変形(扁平足,外反母趾,内反小趾)調査,を実施した。 2.結果の概要 弘前市内の中学校1施設の協力のもと,1年生から3年生までの合計103名を対象として足部形態及び変形の調査を行った。 (1)足部の形態計測について 足長の平均値は,1年生234.7±13.9mm,2年生238.7±16.2mm,3年生239.2±15.4mmであり,1年生から2年生にかけて年間0.5cm程度の成長がみられるが,2年生から3年生にかけてはほとんど差がなかった。女子は男子に比べ2cmほど足が小さかった。足幅の平均値は,1年生94.8±5.2mm,2年生96.0±6.5mm,3年生96.1±5.6mmであり,足長に比べて成長の程度は小さいが,1年生から2年生にかけての成長がおよそ0.2cmであるのに対して,2年生から3年生にかけてはほとんど差がなかった。すなわち,足サイズの成長は中学2年生でほぼ終わると考えられた。 アーチ高率の平均値は,1年生10.5±3.8%,2年生10.5±3.0%,3年生11.9±2.8%であった。性別では女性の方が男性に比べて低かった。足底面積比率の平均値は,1年生38.3±4.2%,2年生37.7±3.9%,3年生38.1±4.1%であり,学年間での差はなかった。これも女子の方が男子に比べて高かった。 (3)足部変形(扁平足,外反母趾,内反小趾)について 野田式分類に基づく接地面のタイプが扁平型のfootprintであるI型の割合は,1年生18.8%,2年生11.1%,3年生12.9%であったが,特に男子では2〜3年生でその割合が高かった。一方,女子では1年生の割合が2〜3年生に比べて有意に高かった。 外反母趾の平均値は,男子で1年生9.7度,2年生11.9度,3年生12.3度,女子で1年生14.9度,2年生11.5度,3年生14.9度であり,学年進行に伴って大きくなる傾向がみられた。13度を超える生徒の割合は,全体でみると1年生42.2%,2年生40.3%,3年生52.9%であった。 内反小趾の平均値は,男女で差がなく,全体では1年生13.4度,2年生10.9度,3年生11.9度であり,10度を超える生徒の割合は,全体でみると1年生81.3%,2年生54.2%,3年生64.3%であった。 これらより,外反母趾でないにもかかわらず内反小趾が単独で生じていることが多いことを示しており,内反小趾は外反母趾に伴って生じることが多いといわれていることと異なる結果であった。また,従来から,中学生女子の4人に1人,男子では7人に1人が外反母趾であるといわれているが,今回の結果は,女子で54.7%(1.8人に1人),男子で35.0%(2.9人に1人)が外反母趾であり,過去の結果をはるかに上回る数字であった。
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