2006 Fiscal Year Annual Research Report
身体運動が脳と心に及ぼす効果の解明と健康科学への応用
Project/Area Number |
17300223
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
内田 直 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 教授 (00261181)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宝田 雄大 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 助教授 (70367093)
渡邉 丈夫 早稲田大学, 生命医療工学研究所, 講師 (90409756)
宮崎 真 早稲田大学, 人間科学学術院, 助手 (30392202)
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Keywords | 身体活動 / 睡眠 / 気分 / 脳機能 / 前頭葉 |
Research Abstract |
本年度は、高齢者を対象に大規模アンケート調査を行った。目的は身体活動量(普段の運動量)と睡眠および気分との関連を明らかにすることである。質問紙として、身体活動量については国際標準化身体活動質問紙(IPAQ)日本語版short versionの質問表を、睡眠についてはピッツバーグ睡眠調査票(PSQI)、気分については抑うつ性自己評価尺度(CES-D)を用いた。対象は、高齢者を対象とした教養講座の受講生625名(平均年齢65.8±4.0歳、男性317名、女性298名(性別無回答10名))である。本研究によって、以下の3点の結果が明らかになった。 1.睡眠時間と抑うつの点数には有意な負の相関があり、相互関係があることが分かった。 睡眠時間が短いほど抑うつの点数が高く、また抑うつのある者ほど睡眠時間の短いことが分かった。 2.抑うつの有無にBMIが間接的に影響している可能性があることが推察された。 肥満とうつ病、生活習慣病とうつ病とが密接に関連していることから、BMI値が増大することで順を追って肥満、生活習慣病への罹患などが考えられるので、BMIは抑うつの有無の初期の要因であるとも考えられるであろう。 3.抑うつと身体活動量、抑うつと生活習慣病、睡眠と身体活動量、睡眠と生活習慣病、身体活動量と生活習慣病の関連性については証明できなかった。 また本研究では、横断的研究デザインであったため、因果関係を述べることはできないが、上記のことが本研究より示唆された。本研究は高齢者の心とからだの健康について調査したものだが、睡眠と抑うつとになんらかの関連性があることが推察される結果となった。しかし、高齢者にとって加齢にともなう不安や経済的、生活環境の変化が身体的・精神的健康に与える影響は大きく、健康に及ぼす他の要因も含めさらなる解明が必要であることは必須である。
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