2005 Fiscal Year Annual Research Report
セルロース/水酸化ナトリウム水溶液からの新機能性食品材料
Project/Area Number |
17300241
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Research Institution | Kobe Women's University |
Principal Investigator |
山根 千弘 神戸女子大学, 家政学部, 助教授 (70368489)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀬口 正晴 神戸女子大学, 家政学部, 教授 (40149612)
岡島 邦彦 徳島文理大学, 工学部, 教授 (30389168)
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Keywords | セルロース / 水酸化ナトリウム / 食材 / 表面エネルギー / パン / 発ガン性 / 構造形成 |
Research Abstract |
セルロース/水酸化ナトリウム水溶液から得たセルロースは世界で唯一の可食性セルロース成形体である。それはセルロースの溶解に,食品のプロセッシングに認められている水酸化ナトリウムしか必要としないからである。セルロース成形体から良好な機能性食品材料を得るためにはつぎのような課題がある。 (1)機能性食品として望ましいセルロース成形体の構造を見出すこと。 (2)そのセルロース成形体の構造制御メカニズムを見出すこと。 (3)生理機能(発がん性物質・環境ホルモンなどの吸収抑制、血糖の上昇抑制,カロリー低減効果など)を見出すこと。 (4)事業性のある機能性食品を見出し製造要素技術を確立すること。 このような課題の中で本年度は次のような実績を得た。 (1)セルロース成形体の構造形成仮説を提案した。これはセルロースが溶液中で疎水性の相互作用で,まず分子シート状の構造体を形成し,次に分子シートが水素結合して積層して最終的なセルロース成形体ができるというものである。そして,構造形成時の周辺の極性を変化させることで,構造を精密制御できる見通しを得た。これはPolymer Journal誌に受理されている。この過程でアクセルリス社の科学計算ソフトオプション(189万円)を使用した。 (2)食品に含まれる発がん性物質TRP(ヘテロサイクリックアミン、タンパクの熱変性により生成)のセルロースへの吸着メカニズムはセルロース結晶面の表面エネルギーに依存する可能性を見出した。これにより,不可避的に経口摂取されるこれら発がん性物質を効果的にセルロースに吸着させて対外に排出させる目処を得た。この検討のために,比表面積計(409.5万円),液クロ(126万円)を使用した。 (3)このセルロース成形体は,製パン分野に展開可能なことを見出し,試作の検討を開始するとともに,特許「セルロースパンとその製造方法」を出願した。
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Research Products
(10 results)