2006 Fiscal Year Annual Research Report
セルロース/水酸化ナトリウム水溶液からの新機能性食品材料
Project/Area Number |
17300241
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Research Institution | Kobe Women's University |
Principal Investigator |
山根 千弘 神戸女子大学, 家政学部, 助教授 (70368489)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀬口 正晴 神戸女子大学, 家政学部, 教授 (40149612)
岡島 邦彦 徳島文理大学, 工学部, 教授 (30389168)
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Keywords | セルロース / 水酸化ナトリウム / 食材 / 表面エネルギー / パン / 発ガン性 / 構造形成 |
Research Abstract |
18年度は以下の実績を得た。 1.セルロース成型体の構造と構造形成メカニズム: 系統的に条件を変化させながら成型体を調製し、得られた成型体の構造を検討することにより、構造形成仮説を提案した。これらの結果はPolymer Journalに2報掲載された。仮説は、セルロースが溶液中で疎水性の相互作用で、まず分子シート状の構造体を形成し、次に分子シートが水素結合にて積層して最終的なセルロース成形体ができるというものであるが、この仮説を補強するためにコンピュータシミュレーションによる検証をおこなった。シミュレーションでは、疎水性の分子シートが水系溶媒中で安定に存在することが示され、この仮説を支持する結果を得た。 これらの検討の過程で、特殊な成型体調製条件を用いると、完全アモルファス状態のセルロースが得られることを見出した。さらにこれをレベリングオフ重合度まで解重合して粉砕することにより、透明なセルロース/水スラリーを調製することができた。これは、完全ノンカロリー食材として極めて有望な素材である。透明になるのは、粒子サイズがナノメートルオーダーで、非晶質なため、散乱しにくいことが原因と予想されるが、そのメカニズムを見出すとともに最適な調製技術も検討する。 2.生理機能の解明: 食品に含まれる発がん性物質TRPが、構造制御により、より効果的にセルロース成型体に吸着することは17年度の検討で明らかにされたが、18年度は多くの人工着色料がセルロース成型体に吸着されることを見出した。 3.事業性のある機能性食品の選定と製造要素技術の確立: 製パン分野での事業化を目指して、日清医療食品、オリエンタルベーカリー、旭化成と共同で検討を継続中である。18年度はこれに加え、上記のアモルファス状の透明なセルロースクリームをノンカロリー油脂代替食品と位置づけ、その基本的な調製技術を見出した。
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Research Products
(12 results)