2007 Fiscal Year Annual Research Report
口腔感覚粘度の直接計測法の開発とその介護食品への応用
Project/Area Number |
17300242
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Research Institution | National Agricultural Research Organization |
Principal Investigator |
神山 かおる National Agricultural Research Organization, 食品総合研究所・食品機能研究領域, ユニット長 (00353938)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
早川 文代 食品総合研究所, 食品機能研究領域, 主任研究員 (00282905)
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Keywords | 食品 / 医療・福祉 / 咀嚼 / 介護食 / サイコレオロジー / 嚥下 / リハビリテーション |
Research Abstract |
高齢社会において、摂食や嚥下機能に障害のある者が増加し、物性を調整した介護食品のニーズが高まっているが、障害者の口腔感覚は健常者とは異なるために、好ましい食品物性の科学的・体系的解明は未だ行われていない。一方、食品は複雑な粘性挙動を示すため、ニュートンの粘性法則等の簡単な物理法則では数値化できなかった。そこで本研究では、介護食品に多い液状から半固形状の食品を、実際に口腔内に取り入れる条件で、口腔感覚粘度を直接計測することにより簡便かつ正確に評価することを目標としている。 前年度までに、口腔感覚粘度を測定するデバイスを設計し、健常者と摂食機能に障害のある患者で物性の異なる食品をスプーンから摂取する時の口唇圧測定を行った。患者では、摂食圧の低下や時間の延長が認められた他、機能不全の代償動作として、健常側のみでの摂取という食べ方の変化習慣的に修得されていることが示唆された。 今年度は健常被験者に、食べ方を無意識のうちに変えるため、テクスチャーの官能評価を課した場合に摂食動作を行わせ、多点シートセンサを用いた咀嚼圧測定及び官能評価のスイッチによる回答を伴う咀嚼筋筋電位測定を行った。テクスチャーの異なるチーズを、(1)官能評価なしで普通通りに、(2)完全に噛み切るときの力の値を評価しながら、(3)歯がチーズに初めて入る瞬間の力を評価しながら、の三通りの条件で摂食させた。咀嚼力はどの試料でも、(1)>(2)>(3)の順に低く、咀嚼時間は(1)<(2)<(3)の順に長くなった。変形速度が遅いほど抵抗力が低くなるという関係は、チーズのような粘弾性を示す試料においては妥当だと考えられた。高齢者の咀嚼は若年者に比べて、また高齢者の中では残存歯数が低くなるほど、咀嚼時間の延長が観察されたが、速度を遅くすることで咀嚼力が低くても食物を破壊できる実例を示せたことで、咀嚼力の低い者における時間制御型咀嚼の生理学的な意味づけができたと考える。
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Research Products
(7 results)