2005 Fiscal Year Annual Research Report
オホーツク海における、海水・海氷・油の流動予測システムの開発
Project/Area Number |
17310002
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大島 慶一郎 北海道大学, 低温科学研究所, 助教授 (30185251)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
若土 正曉 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (60002101)
江淵 直人 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (10203655)
三寺 史夫 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (20360943)
深町 康 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (20250508)
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Keywords | オホーツク海 / 海氷 / 東樺太海流 / 宗谷暖流 / 海洋レーダー / 数値シミュレーション / 油汚染 / サハリン油田 |
Research Abstract |
本年度は、海水・海氷・油の流動予測の基盤となる3次元海洋モデルの開発と、それに粒子追跡法を取り入れることを主に行った。開発したモデルは、現実のオホーツク海の地形・成層を入れたもので、15年のスピンアップの後、1985-1999年の客観解析データ(ERA-40)の日々の風応力と月平均の海面熱フラックスによって駆動される。モデルは係留測流結果とよくあっており、特に東樺太海流はその変動も含めよく再現された。表層漂流ブイの流速とモデルの流速を比較すると、水深1000m以下の海域では、両者の差の標準偏差は10cm/s、相関係数は0.75と高い値を示し、大陸棚上ではモデルはよく流速場を再現していることがわかった。このモデルに粒子追跡法を取り入れて、サハリン油田起源の海水の漂流拡散を調べた。水平拡散の効果は、Markov-chain modelを仮定したランダムウォークを用いて取り入れた。油の漂流で最も効くのは海流で、本モデルは初めて海流を適切に取り入れた油流出シミュレーションモデルである。モデルから、サハリン油田からの粒子は、東樺太海流に乗って樺太東を南下しあまり拡散せずに北海道沖に達する漂流パターンを示すことがわかる。注目すべき点は、東樺太海流は季節変化が大きく、粒子の流出するタイミングによって北海道沖までの到達時間が大きく異なることである。9-12月は40-60日で到達するのに対し、2-6月では半年かかり年による偏差も大きい・このようなシミュレーションはアムール川からの汚染物質の予測にも有用であり、アムール川からの粒子も同様にして北海道沖に到達する。拡散をより適切に評価するために、観測された潮流をよく再現しうるオホーツク海の3次元海洋潮汐モデルも作成した。この潮汐モデルと上記の風成循環モデルを組み合わせることで、より正確な流動予測モデルとなる。
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Research Products
(12 results)