2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17310005
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
武田 重信 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 助教授 (20334328)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古谷 研 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 教授 (30143548)
小畑 元 東京大学, 海洋研究所, 講師 (90334309)
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Keywords | 地球科学 / 海洋生態 / ケイ素 / ケイ藻 / 安定同位体 / 質量分析 / 生物ケイ酸 / 植物プランクトン |
Research Abstract |
1)ケイ素安定同位体を用いた珪藻によるケイ酸取り込み速度および溶解速度測定の高度化 負イオン表面電離型質量分析法を用いて、ケイ素同位体比測定法の検討を行った。標準試料および同位体スパイクを用いた基礎検討の結果、試料フィラメントに塗布するケイ素の化学形態としてNa_2SiO_3を、また負イオン化促進剤としてBa(OH)_2を用いることにより安定したイオンビームが発生し、トレーサー実験に必要な精度を得ることが可能となった。 次に、高分解能ICP質量分析計によるケイ素同位体比測定法の検討を行った。試料導入系におけるコンタミネーションの影響が大きいものの、試料測定の前後でブランク強度を計測することにより、負イオン表面電離型質量分析計と同程度もしくはそれ以上の精度が得られることが分かった。高分解能ICP質量分析では測定試料の前処理法が負イオン表面電離型質量分析と比べて極めて簡便であり、ケイ酸取り込み速度および溶解速度測定用の多数の試料を効率よく分析する目途が得られた。 2)北太平洋の亜寒帯・亜熱帯海域におけるケイ酸取り込みと溶解速度のバランスの動態 研究船T.G.Thompson航海(2006年5月)および北光丸航海(2006年7月)において、北太平洋亜寒帯海域の東部と西部におけるケイ藻群集のケイ酸取り込みと生物ケイ酸溶解速度の現場測定を、ケイ素安定同位体^<30>Siをトレーサーとして用いた船上培養実験により実施した。北海道東沖親潮・混合域で得た試料について、高分解能ICP質量分析計を用いてケイ素同位体比の変化を測定したところ、表層のケイ藻現存量が少なかったにも関わらず、有意な生物ケイ酸の生産が認められた。一方、現場水柱における生物ケイ酸の溶解速度は、生産速度と比べて一桁程度大きく、春季ブルーム後に相当する初夏の親潮・混合域では、生物ケイ酸の溶解再生が進行していることが明らかになった。
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Research Products
(5 results)