2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17310005
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
武田 重信 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 准教授 (20334328)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古谷 研 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (30143548)
小畑 元 東京大学, 海洋研究所, 准教授 (90334309)
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Keywords | 地球科学 / 海洋生態 / ケイ素 / 珪藻 / 安定同位体 / 質量分析 / 生物ケイ酸 / 植物プランクトン |
Research Abstract |
1.西部北太平洋の亜寒帯親潮域におけるケイ酸取り込みと溶解速度のバランスの動態 高分解能1CP質量分析計を用いたケイ素同位体比測定法について前処理方法を簡便化し,ケイ酸取り込み速度および溶解速度測定用の多数の同位体試料を効率よく分析するための手法として確立した。 北太平洋亜寒帯海域の中でも春季に珪藻類の顕著なブルームが観測される北海道東沖親潮,混合域において珪藻群集のケイ酸取り込みと生物ケイ酸溶解速度を測定し,現揚水柱における生物ケイ酸の溶解速度と生産速度のバランスがブルームの時期や水塊の違いによって変化することを明らかにした。また珪藻培養株を用いた室内実験により,表面混合層内で夜間冷却に伴って起こる滞留鉛直混合の影響によって,ブルーム前半と後半における珪藻の細胞ケイ素含量や,ケイ酸取り込みと硝酸取り込みの比率が変化し得ることを示した。 2.海洋表層におけるケイ酸取り込みと溶解速度のバランスの変動機構と海域特性 西部北太平洋亜寒帯海域でネット採集した現場の珪藻群集のケイ酸殻を用いた溶解実験と溶解過程における珪藻殻の詳細な電子顕微鏡観察を行い,種組成によって溶解速度に違いが認められること,小室など珪藻殻の孔構造の数や分布が溶解に伴う珪藻殻の形態変化に大きな影響を及ぼしていること,このような形態変化の種による違いが珪藻殻の表面積:体積比の変化を生み出して溶解速度を決める一因になっていることを明らかにした。 これらの結果から海洋表層におけるケイ素の循環を見積もったところ,珪藻によって生産された生物ケイ酸の大部分が表層で溶解し再循環していると推測されたが,実際には深層水中にも溶解途中の珪藻殻が観察されたことから,糞粒など珪藻殻を溶解から保護した状態で深層に輸送する過程の寄与も無視できないと考えられた。
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Research Products
(4 results)