2005 Fiscal Year Annual Research Report
水・森林土壌生態系におけるフミン物質など溶存有機炭素の動態と環境影響の解明
Project/Area Number |
17310008
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
山田 悦 京都工芸繊維大学, 環境科学センター, 教授 (30159214)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
布施 泰朗 京都工芸繊維大学, 環境科学センター, 教務職員 (90303932)
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Keywords | 溶存有機炭素 / 水環境 / 森林土壌生態系 / フミン物質 / 環境動態解析 / 琵琶湖・淀川水系 / トリハロメタン / カラム分画 |
Research Abstract |
フミン物質は環境中の主たる有機成分であり、環境中での金属の存在状態や水道水中のトリハロメタン(THM)生成に影響を与え、近年は有害な有機化合物と結合し、その残留や拡散に影響することが指摘されている。しかし、フミン物質は広い分子量分布を有する複雑な混合分子系であるため、これまで環境中での挙動はほとんど明らかにされていなかった。山田らは、フミン物質の濃度と分子量を同時に測定する方法を開発し、琵琶湖水や淀川水系河川水中フミン物質の動態解析を行うと共に、環境での働きを明らかにしてきたが、琵琶湖の有機汚濁はフミン物質のみの影響では説明できないことを見出した。 平成17年度は、Amberlite製XAD-7HPを用い、琵琶湖水及び淀川水系河川水中溶存有機物質(DOM)を疎水性有機物と親水性有機物に分画し、溶存有機炭素濃度を求めた。疎水性酸は、既に開発している蛍光検出-ゲルクロマトグラフ法により求めたフミン物質濃度と比較した。さらに、水道水中THMの前駆物質解明のため、分画した画分を塩素化することにより、疎水性酸、疎水性中性物質及び親水性有機物質のTHM生成能に及ぼす寄与率を求めた。DOMに疎水性酸が占める割合は、河川水では30〜60%、琵琶湖北湖水では25%前後で、河川水の方が高いという結果が得られた。THM生成能は、河川水ではフミン物質など疎水性酸の寄与が70%前後と高く、一方、琵琶湖北湖水では疎水性酸の寄与は30%前後で、親水性有機物質の寄与と同程度であった。琵琶湖水中DOMでは疎水性中性有機物質が15〜20%と高い割合で存在しており、疎水性中性物質のTHM生成能への寄与は約40%と疎水性酸や親水性有機物質の寄与より大きい。琵琶湖水における親水性画分の単位有機炭素あたりのTHM生成能は、河川の約2倍で、これは、親水性有機物質の種類が、河川と湖水では異なるためではないかと推測できる。
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Research Products
(1 results)