2007 Fiscal Year Annual Research Report
湖沼における溶存鉄の存在形態分析と鉄利用性がアオコ発生に及ぼす影響
Project/Area Number |
17310013
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
今井 章雄 National Institute for Environmental Studies, 水土壌圏環境研究領域, 室長 (40203286)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松重 一夫 独立行政法人国立環境研究所, 水土壌圏環境研究領域, 主任研究員 (40229464)
小松 一弘 独立行政法人国立環境研究所, 水土壌圏環境研究領域, 研究員 (20391104)
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Keywords | 湖沼 / アオコ / 鉄 / 溶存有機物 / 錯化 / 藍藻類 / ボルタンメトリー / AGP |
Research Abstract |
本年度は,霞ケ浦でアオコを形成する代表的な藍藻類Microcystis aeruginosaとM.aeruginosaの後に優占種となったPlanktothrix agardhiiの2種の増殖特性を明らかにすることを目的として鉄制限条件において連続培養実験を実施した。溶存鉄濃度,鉄のセル含量,増殖速度の関係を,2種類の増殖モデル式,Monod式とDroop式によって決定した。両方の種ともにヒドロキサム酸タイプのシデロフォアを生産したが,カテコールタイプのシデロフォアは生産しなかった。M.aeruginosとP.agardhiiのセル窒素含量は,鉄のセル含量が減少するに従い低下した。M.aeruginosaのセルのリン含量はセルの鉄含量の減少に従い低下したが,一方,P.agardhiiのそれは低下しなかった。鉄制限の程度を変化させた回分式の培養実験において鉄の取り込み速度を求めた。結果として,M.aeruginosaの鉄の取り込み速度はセルの鉄含量に無関係でありが,P.agaradhiiの場合,鉄の取り込み速度はセル鉄含量に顕著に依存していることが示された。 本実験に求められた藍藻類の増殖特性に基づいて,鉄制限下における動力学的増殖モデルを作成した。開発したモデルは藍藻類の増殖と鉄の取り込みを的確に予測することができた。モデルシミュレーションの結果,M.aeruginosaの方が鉄制限条件下で増殖能が高いと示唆された。結果として,藍藻類種の増殖特性の違いが,湖沼における種の優占状態を決定する重要な因子であると推察された。
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Research Products
(10 results)
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[Presentation] 霞ケ浦水質の30年2007
Author(s)
松重一夫
Organizer
日本陸水学会第72回大会
Place of Presentation
水戸市
Year and Date
20070910-13
Description
「研究成果報告書概要(和文)」より
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