2005 Fiscal Year Annual Research Report
生態系管理の順応的制御ルールに関する群集・空間生態学的研究
Project/Area Number |
17310023
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
松田 裕之 横浜国立大学, 大学院・環境情報研究院, 教授 (70190478)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
雨宮 隆 横浜国立大学, 大学院・環境情報研究院, 助教授 (60344149)
小池 文人 横浜国立大学, 大学院・環境情報研究院, 助教授 (20202054)
白木原 国雄 国立大学法人 東京大学, 海洋研究所, 教授 (90196618)
勝川 俊雄 国立大学法人 東京大学, 海洋研究所, 助手 (90302679)
酒井 暁子 横浜国立大学, 大学院・環境情報研究院, 客員助教授 (20344715)
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Keywords | 順応的管理 / 合意形成 / リスク評価 / 地理情報システム / 持続可能性 |
Research Abstract |
従来の生態系の管理方策は,実際には対象種に注目した個体群単位の管理であった.たとえば水産資源管理においては、乱獲も禁漁も利益を得られず、中庸の漁獲圧での利用が長期的な利益を最大にするという「最大持続漁獲量」の理論がしられており、持続的な漁業は生物の保全と調和すると考えられてきた。しかし、生態系を考慮した場合、たとえば被食者のMSYは捕食者の生物体量に依存する。生態系全体から得られる最大持続漁獲高を理論的に検討した結果、利用しない生物種の存続は保証されず、持続的な利用と保全は無条件では調和しないことを示した(Matsuda & Abrams 2006)。 オニヒトデの食害を受けている石西礁湖のサンゴ礁において、オニヒトデ密度の空間分布に基づき、駆除地域(サンゴ礁保全重点区域)を順応的に選定する方法を提案するために、オニヒトデ密度、現在の駆除効果の評価、将来必要な努力量、最小の駆除海域の面積の検討を行った(2006年生態学会大会シンポジウム講演)。同様に、シカの食害で林床植生の破壊が進んでいる屋久島で、シカ密度の空間分布に基づき、順応的な捕獲戦略を検討している。 また、知床世界遺産地域における漁業者の自主管理漁業(特にスケトウダラ)の実態を現地で聞取り調査し、順応的管理に基づく世界遺産海域管理計画の立案を検討している。 さらに、国連海洋法条約に基づく許容漁獲量制度において、禁漁水準、目標資源水準、目標漁獲率の3つのパラメータで特徴付けた漁獲方針により、変動する資源の最低資源量を保全し、漁獲量の平均値を上げ、分散を下げる方策を数理モデルによって検討した。
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Research Products
(37 results)