2007 Fiscal Year Annual Research Report
殺虫剤の尿中代謝物プロファイリングによる体内負荷量の定量と健康影響のリスク評価
Project/Area Number |
17310033
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
上島 通浩 Nagoya University, 大学院・医学研究科, 准教授 (80281070)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
那須 民江 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (10020794)
高木 健次 名古屋大学, 医学部, 准教授 (80126870)
柴田 英治 愛知医科大学, 医学部, 准教授 (90206128)
山野 優子 昭和大学, 医学部, 講師 (30167580)
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Keywords | 殺虫剤 / 農薬 / 代謝物 / 生物学的モニタリング / 尿 / リスク評価 / 毒性 |
Research Abstract |
本研究の目的は、複数の殺虫剤による混合曝露を受けた場合のリスク評価を念頭に、殺虫剤に曝露するヒト職域集団およびモデル動物で、尿中代謝物量と健康影響の量反応関係を明らかにすることである。以下に平成19年度に行った検討結果を抜粋する。フェニトロチオンの代謝物3-メチル-4-ニトロフェノール(MNP)の抱合能の種差をみる目的で、ウズラ、ラット、マウスの肝ミクロソーム分画中のUDP-グルクロン酸転移酵素(UGT)、細胞質分画中の硫酸転移酵素(SULT)の活性を測定した。UGTに関して酵素活性はウズラが最小、マウスが最大であった。一方SULTに関しては、UGTに比べ活性はかなり低く、有意な種差は認められなかった。また、糖尿病(DM)患者では有機リン系殺虫剤の代謝と毒性がどのように変わるか明らかにする目的で、DMモデル動物での毒性実験を行った。9週齢のWistar系雄ラットを2群にわけ片方の群にストレプトゾトシン45mg/kgを投与し、1型DMのモデル(DM群)とした。DM群及びストレプトゾトシン非投与対照群にダイアジノン0,6.5mg/kg,65mg/kgを1回腹腔内投与した。DM群では対照群に比べ尿中DEP排泄量が有意に多く、投与6時間後の血中コリンエステラーゼ(ChE)活性の低下が有意に大きかった。投与3時間後の脳内ChE活性の有意な低下は、65mg/kg投与のDM群のみでみとめられた。DM群ではCYP1A2が有意に誘導されており、ダイアジノンの毒性が増強している可能性が示唆された。 ヒトでのリスク評価に関しては、殺虫剤散布職域の尿中代謝物濃度と精液指標との関係を検討した。カットオフ値をDAP50μg/L,3-PBA 5μg/Lをとしたとき、カットオフ値以上の群はカットオフ値以下の群に比べ精液濃度は低く(ただし3-PBAではp=0.06)、非前進運動精子率が高い結果が得られた。
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Research Products
(13 results)