2006 Fiscal Year Annual Research Report
低線量放射線の被ばく線量を測る分子バイオドシメトリー法の開発と発がんリスク評価
Project/Area Number |
17310036
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
神谷 研二 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 教授 (60116564)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増田 雄司 広島大学, 原爆放射線医科研究所, 助手 (30273866)
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Keywords | REV1 / ゲノム障害 / ゲノム修復 / 損傷乗り越えDNA合成 / 放射線 / ポリメラーゼ / 突然変異 / バイオドシメトリー |
Research Abstract |
医療技術の高度化や原子力産業の発展により,一般人が低線量放射線に被曝する機会が増えている。放射線の健康影響を科学的に解明するには,個人被曝線量の正確な測定が必要である。大腸菌のエイムス試験は,「誤りがちなDNA修復」をする「損傷乗越え型DNAポリメラーゼ」の機能を亢進する事で,高感度に突然変異を検出する測定系である。我々は,酵母の酸化的DNA損傷の修復や自然突然変異の誘発に関与する損傷乗越え型DNAポリメラーゼの一種であるRevl遺伝子の機能解析を行い,この酵素は,「誤りがちなDNA修復」をすることで突然変異を誘発することを明らかにした。そこで、Revlの機能亢進したマウスや細胞を利用して放射線被曝によるゲノム障害を高感度の検定できるバイオドシメトリー法を開発する基礎研究を実施した。本年度は,REV1の発現をテトラサイクリン濃度で制御できる発現ベクター系を導入したヒト細胞を樹立し,この細胞を用いて各種のゲノム障害因子に暴露したときの生存率を検討した。その結果,テトラサイクリン濃度を変えることでREV1の発現レベルを誘導できる2系のヒト細胞株を樹立した。この1系の細胞に化学物質の暴露と放射線照射を行いその生存率を対照群と比較した。2種類の化学物質の処理群では,REV1過剰発現細胞の生存率の有意な上昇を認めた。同様に,放射線照射群においても3,4,5Gyでは,REV1過剰発現細胞の生存率は,上昇傾向を認めた。この様にREV1の過剰発現細胞は,生存率が上昇傾向のあることから,細胞が生き延びることで突然変異を蓄積しやすい特性を有することが示唆された。
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Research Products
(5 results)