2005 Fiscal Year Annual Research Report
放射線誘発クロマチン損傷修復におけるMDC1/53BP1センターシャペロンの機能
Project/Area Number |
17310037
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
鈴木 啓司 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (00196809)
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Keywords | 放射線 / 染色体 / リン酸化 / ヒストンH2AX / MDC1 |
Research Abstract |
DNA二重鎖切断で誘導されるヒストンH2AXのリン酸化が、クロマチン損傷部位を特定する分子タグとして機能し、それを目印にMDC1/53BP1センサーシャペロンがクロマチン損傷を検出している可能性を明らかにするために、分裂中期染色体上でリン酸化ヒストンH2AXおよびMDC1/53BP1センサーシャペロンのフォーカス形成を検出できる実験系の検討を行った。その結果、コルセミド処理(0.1μg/ml)を施し、集積した分裂中期細胞を回収し、0.075MKClで20分間低張処理をし、さらにカルノー液により固定した細胞をスライドグラス上に展開し、風乾後にPBS緩衝液中で再度潤化し、抗体処理をする方法を確立した。1次抗体には、BETHYL社の抗MDC1抗体および抗53BP1抗体を用いた。1次抗体の検出には、蛍光物質としてAlexa488もしくはAlexa594で標識した抗ウサギ抗体を用いた。染色体DNAはヨー化プロピジウムにより対比染色した。蛍光画像の検出は、本研究費で設備したライカ社製蛍光イメージングシステムを用いて行った。 放射線照射により、細胞中のDNAにに重鎖切断が生じそれに起因して染色体に異常が起こる。染色体異常としては、照射直後は染色分体型の異常が、照射20時間後には染色体型の異常が観察されることを確認した。リン酸化ヒストンH2AXのフォーカスは、染色分体型の異常部位に確認されたが、MDC1フォーカスを同じ部位に局在することがわかった。さらに、染色体型の異常でも、リン酸化ヒストンH2AXおよびMDC1のフォーカスは局在し、その部位は染色体異常が確認されない個所であった。以上の結果から、照射直後にDNA二重鎖切断部位に局在するリン酸化ヒストンH2AXおよびMDC1は、照射後時間が経つにつれて必ずしも損傷部位に残存しないことが示唆された。
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