2006 Fiscal Year Annual Research Report
放射線誘発クロマチン損傷修復におけるMDC1/53BP1センターシャペロンの機能
Project/Area Number |
17310037
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
鈴木 啓司 長崎大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助教授 (00196809)
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Keywords | 放射線 / 染色体 / リン酸化 / ヒストンH2AX / MDC1 |
Research Abstract |
DNA二重鎖切断で誘導されるヒストンH2AXのリン酸化が、クロマチン損傷部位を特定する分子タグとして機能し、それを目印にMDC1/53BP1センサーシャペロンがクロマチン損傷を検出している可能性を明らかにするために、分裂中期染色体上でリン酸化ヒストンH2AXおよびMDC1/53BP1センサーシャペロンのフォーカス形成を検出した。その結果、照射直後にDNA二重鎖切断部位に局在するリン酸化ヒストンH2AXおよびMDC1は、照射後時間が経つにつれて必ずしも損傷部位に残存しないことが明らかになった。MDC1/53BP1センサーシャペロンが、放射線照射後初期の段階でどのような役割を果たしているかを明らかにするため、EGFP-53BP1蛋白質を発現する正常ヒト二倍体細胞を樹立し、X線照射後のEGFP-53BP1フォーカスをタイムラプス法により解析した。その結果、放射線照射後15分以内に形成される初期フォーカスは、その後30分の間に徐々にその領域が拡大することが判明した。さらに、この拡大したフォーカスには、ヒストンH2AXやその他のDNA損傷チェックポイント因子が共局在し、多重蛋白質複合体を形成していることもわかった。さらに、MDC1/53BP1センサーシャペロンのフォーカス形成に重要なATMによりリン酸化をATMの特異的阻害剤であるKU55933で阻害したところ、リン酸化ATMフォーカスが完全に消失した条件でも、53BP1フォーカスは検出されることから、MDC1/53BP1センサーシャペロンのフォーカス形成には、ATM機能依存的なリン酸化により修飾以外に、クロマチン構造の変化に伴うクロマチンアセチル化の露出が必要であることが明らかになった。
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