2005 Fiscal Year Annual Research Report
自然界の微生物共生系を模した"単純な人工の活性汚泥"の構築とその利用
Project/Area Number |
17310042
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
田中 秀夫 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 教授 (40015657)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青柳 秀紀 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 助教授 (00251025)
|
Keywords | 複合生物系 / クロレラ / ケミカルコミュニケーション / フィジカルコミュニケーション / EOC / レクチン / 混合培養 / 共生 |
Research Abstract |
本研究は、自然界で営まれている複数微生物間の相互関係の中から共生系に注目し、共生系を構成する微生物間で行われているコミュニケーションのメカニズムを解明することにより、それらのメカニズムを利用した新規な人工の微生物共生系をデザインし、"自然界の微生物の共生系型の単純な複合系を模した単純な人工の活性汚泥を開発し、その利用性の可能性"を明らかにすることを目的とした。人工の微生物共生系型複合系を構築するための模倣対照となる自然界の微生物共生系のモデルとして、これまで長期間純粋分離されずに継代培養されてきてきたChlorella sorohiniana IAM C-212株(クロレラと3種のバクテリアおよび1種のカビで構成されている)を研究に用いた。クロレラと汚染微生物の相互間で行われているChemical Communication(物質のやりとり)の詳細な解析を行った。その結果、(1)クロレラは光合成により菌体外に有機物(EOC=Extracellular released organic carbon)を排出し、共生微生物はEOCを栄養源として生育している事、(2)EOCは11種類の糖、27種類のアミノ酸やビタミンなどが構成成分であること、(3)EOCの成分は、各共生微生物でそれぞれ特徴的な消費パターンを示すこと、(4)各共生微生物とクロレラの間には片利共生と相利共生の関係が存在する事、など、Communicationの詳細を明らかにした。さらに抗生物質処理により純粋化したクロレラ株と、共生微生物が混入したクロレラ株を長期間、固体培養した場合、共生微生物が混入している株は純粋化された株に比べて非常に長期間クロロフィルが安定に保持される事を見出した(共生微生物が混入したクロレラの方が系として安定している)。今後は、得られた結果を基盤とした人工の微生物共生系の構築について検討を行なう。
|
Research Products
(4 results)