2006 Fiscal Year Annual Research Report
微生物生態系を制御した高性能窒素・リン同時除去型排水処理システムの開発
Project/Area Number |
17310053
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
常田 聡 早稲田大学, 理工学術院, 助教授 (30281645)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青井 議輝 早稲田大学, 理工学術院, 助手 (40386636)
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Keywords | 環境保全技術 / 水質浄化 / 微生物機能 / メンブレンエアレーション / リン資源回収 |
Research Abstract |
本研究では排水中の窒素とリンを同時に除去するために,硝化細菌と脱窒性リン蓄積細菌(DNPAO)を積極的に利用する新規排水処理システムの開発に取り組んでいる。昨年度より,シリコンチューブを酸素供給素材および微生物固定化担体として利用するメンブレンエアレーション法の導入を検討している。本年度は,シリコンチューブの周囲にサラン樹脂繊維を巻きつけた複合体を使用することにより硝化細菌の付着を促進させることを試み,形成した生物膜への酸素供給条件および微生物活性の評価を行った。その結果,サラン樹脂繊維の存在によって硝化細菌保持量が増大すること,および硝化速度の安定化をもたらすことがわかった。つづいて,複合体を用いて窒素・リンの除去性能を評価した。その結果,嫌気・無酸素工程を含む1サイクル内でコンセプト通りに窒素・リンが除去され,除去率は一般の活性汚泥法に比べて30%以上高いことが示された。さらに,流入排水中の有機炭素とアンモニアの濃度比(C/N比)が窒素・リンの除去率に与える影響を評価した。その結果,C/N比が2.3,2.7,3.6の場合は,窒素・リンともに90%以上の除去率を達成したが,C/N比1.9,1.7,1.1の場合は窒素・リンともに除去率が大幅に低下してしまった。これは嫌気条件下で摂取できる有機物の量が減ったことにより無酸素条件下でのDNPAOの代謝エネルギーが低下し,脱窒・脱リンの能率も低下したためであると考えられる。本年度の実験結果により,C/N比2.3までの排水であれば本方式によって窒素・リン同時除去というコンセプトを実現できることが確認され,本方式が既存の高度処理方式よりも低C/N比排水に有効であることが示唆された。
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Research Products
(1 results)