2008 Fiscal Year Annual Research Report
微生物生態系を制御した高性能窒素・リン同時除去型排水処理システムの開発
Project/Area Number |
17310053
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
常田 聡 Waseda University, 理工学術院, 教授 (30281645)
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Keywords | 生物学的排水処理 / 高度処理 / 栄養塩除去 / 嫌気 / 好気 / 無酸素法 / 硝化細菌 / 脱窒性リン蓄積細菌 |
Research Abstract |
従来の生物学的栄養塩除去法では,窒素およびリン除去のための電子供与体として排水中の有機物が利用されてきたが,有機物濃度が低い場合,リンが十分に排水中から除去しきれないという問題点があった。そこで,本研究では窒素とリンを同時に除去できる微生物群(脱窒性リン蓄積細菌(DNPAO))の積極的な利用を試みた。我々は,本菌を利用し単一槽での有機物・窒素・リン除去を行う新規プロセスである嫌気/好気/無酸素(AOA)法の開発を行ってきたが,AOAプロセスは好気条件下でのリン取込みを阻止する都合上,好気条件初期に炭素源を添加する必要がある。しかしながら,実現場導入の観点から,炭素源の添加は最小限にとどめることが必要である。そこで,本年度は,異なる排水組成に対して良好な窒素・リン除去を達成するために必要とされる外部添加炭素源の最適濃度を実験ならびにシミュレーションの両面から検証した。全窒素濃度(TN)が20.0mg-N/L,40.0mg-N/LであるようなC/N比の異なる排水を対象とした。これらの排水を用いてAOAプロセスを稼動し,好気条件初期の炭素源の添加濃度をそれぞれ0.0mg-C/L,12.5mg-C/L,25.0mg-C/L,50.0mg-C/Lと段階的に振り分け,汚泥滞留時間の3倍の期間運転を行った。各段階における窒素・リン除去率の比較検証を行った結果,窒素・リン除去率は炭素源を増加することで高まり,95%以上の良好な除去率を達成するために必要な最小炭素源添加濃度は,TN:20mg-N/Lでは25.0mg/L,TN:40mg-N/Lでは50.0mg/Lであった。以上の結果に基づいて,連続運転のシミュレーションを行った結果,実測の水質測定試験値とほぼ一致したことから,モデルの妥当性が立証された。
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Research Products
(2 results)