2006 Fiscal Year Annual Research Report
廃棄物熱処理プロセスにおける塩素の挙動解析と塩素化合物の低滅法の確立
Project/Area Number |
17310054
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
二宮 善彦 中部大学, 工学部, 教授 (10164633)
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Keywords | 飛灰焼成法 / 塩素化合物 / 塩化水素 / 塩素ガス / 廃棄物熱処理 / 気相平衡計算 / 塩素ラジカル |
Research Abstract |
飛灰の無害化処理技術として、飛灰焼成法が注目されている。しかしながら、本方法は、飛灰の組成比率、調合組成、温度、滞留時間、炭素成分濃度(還元度)などによって、金属およびその金属塩化物の蒸気圧が変化し、その結果として飛灰への残存量やその溶出特性が変化する。さらに、処理条件によって有毒な塩素ガスが発生する可能性があるため、廃棄物熱処理プロセスにおける塩素化合物の挙動を理論的に解明する必要がある。そこで本年度では、飛灰から塩化揮発する砒素に着目し、砒素の揮発に伴う砒素化合物、塩化水素、二酸化硫黄および塩素ガスの発生特性について検討した。 まず、亜砒酸が存在しない場合、塩素の発生に影響を与える成分は塩化水素と水蒸気であった。塩素の発生量は塩化水素の増加に伴い増加し、水蒸気の増加に伴い減少した。この結果、塩素発生量を削減するためには水蒸気添加が有効であると判断された。 亜砒酸を添加した実験においては三塩化砒素が発生した。しかし、そのときは塩素の発生量が著しく減少した。反応炉温度は900℃〜1200℃の間で実験を行ったが、塩素、三塩化砒素のいずれもが温度の上昇に伴い発生量が増加し、一方、塩素の発生量は反応炉滞留時間が短い方が多くなった。塩化水素/三塩化砒素=100/1の実験結果によれば、三塩化砒素の存在による塩素発生の増加は観測されなかった。 酸性水溶液による吸収操作で排ガス中の塩素、三塩化砒素の除去は可能であった。吸収による除去率は塩素については97%以上、三塩化砒素については98〜99%以上であった。三塩化砒素の加水分解速度は遅い可能性があることが明らかになった。 ペレットの焼結試験においても塩化水素とともに塩素ガスの発生が確認された。鉛、亜鉛などの高揮発性元素は、塩素化しやすいことを確認した。
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Research Products
(8 results)