2007 Fiscal Year Annual Research Report
廃棄物熱処理プロセスにおける塩素の挙動解析と塩素化合物の低減法の確立
Project/Area Number |
17310054
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
二宮 善彦 Chubu University, 工学部, 教授 (10164633)
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Keywords | 飛灰焼成法 / 塩素化合物 / 塩化水素 / 塩素ガス / 廃棄物熱処理 / 気相平衡計算 / 塩素ラジカル |
Research Abstract |
飛灰の無害化処理技術として、飛灰焼成法が注目されている。本方法は、処理条件によって有毒な塩素ガスが発生する可能性があるため、廃棄物熱処理プロセスにおける塩素化合物の挙動を理論的に解明する必要がある。そこで本年度では、塩素ガスの生成に対する理論的な検討、塩素を含む飛灰サンプルからの重金属類の揮発に関する研究を主に行った。 38個の塩素系の素反応式を選び、CHEMKINを使用して、化学種の濃度変化を計算した。実験結果との比較の中で、高温場で発生した塩素ラジカルがガス冷却過程において、ラジカル同士の再結合によって塩素ガスが発生し、水蒸気との反応によって塩化水素ガスに変化することが明らかになった。また、塩化水素と塩素ガスとの生成比率は、水蒸気濃度およびガスの冷却速度に支配されることも判明した。次に砒素、鉛蒸気系の素反応速度式についても、公表されているデータを使用してCHEMKINで計算を行ったが、実験結果と一致しなかった。公表されている素反応速度式の数が実験結果を説明するには不十分であったためで、分子軌道法などを利用して必要な素反応速度式の活性化工ネルギーと頻度因子を求める必要があることがわかった。今後、この計算をする予定である。 流通式反応器を使用して、塩素含有率の異なる飛灰サンプルを作製し、重金属化合物の揮発挙動を検討した。飛灰サンプルとしてSiO_2、Al_2O_3、PbCl_2、ZnO、CuO、CaCl_2、Fe_2O_3が含まれている。塩素源のCaCl_2を増加させるとガス中のCl_2が増加した。塩素源がないときはPbの25%が揮発せずにサンプルに残存したが、CaCl_2を3%添加すると1473KでPbの90%が揮発した。揮発化した元素は冷却時に気相析出し粒子状浮遊物質となるが、Pbの場合は973Kでほぼ全量が酸化物および塩化物の粒子となり、本結果は、冷却時の気相析出を考慮した平衡計算結果とその傾向はよく一致した。
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