2005 Fiscal Year Annual Research Report
硫酸イオンラジカルを用いた環境残留性有害フッ素化合物の光化学分解・無害化システム
Project/Area Number |
17310055
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
堀 久男 独立行政法人産業技術総合研究所, 環境管理技術研究部門, 研究グループ長 (50357951)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
忽那 周三 独立行政法人産業技術総合研究所, 環境管理技術研究部門, 主任研究員 (60344131)
竹内 浩士 独立行政法人産業技術総合研究所, 環境管理技術研究部門, 総括研究員 (90357400)
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Keywords | パーフルオロカルボン酸 / パーフルオロノナン酸 / フッ素 / 光分解 / 二酸化炭素 / 光触媒 / 過硫酸 / 環境残留性 |
Research Abstract |
パーフルオロオクタン酸(PFOA : C_7F_<15>COOH)等のパーフルオロカルボン酸類はフッ素系界面活性剤として多くの産業で用いられてきたが、環境水中や生物中での蓄積性が報告されているため有害性が懸念されている。これらは炭素・フッ素結合から成り立っているため非常に安定で、実際に行われている分解処理としては高温での焼却しかない。焼却には高エネルギーが必要で、生成するフッ化水素ガスが炉材を損傷するという問題がある。このため低エネルギーコストで効果的に分解・無害化する方法の開発が望まれている。今年度は2004年以降に野生動物中での残留性が報告され、PFOAよりも生体蓄積性が高いために最近になって特に有害性が懸念されている長鎖パーフルオロカルボン酸類、すなわちパーフルオロノナン酸(C_8F_<17>COOH ; PFNA)、パーフルオロデカン酸(C_9F_<19>COOH ; PFDA)、およびパーフルオロウンデカン酸(C_<10>F_<21>COOH ; PFUA)を効果的に分解・無害化させる方法を検討した。これらは電子部品のコーティング等に使用されているが、水に難溶なため水中ではコロイドとなる。このため水中のこれらを光反応で分解させる場合には光を散乱するコロイド粒子の存在が大きな問題となる。長鎖パーフルオロカルボン酸類は無極性の液体二酸化炭素には特異的に溶解する。そこでこの性質を利用して長鎖パーフルオロカルボン酸類の懸濁液に光酸化剤である過硫酸イオン(光分解して活性な硫酸イオンラジカルとなる)を添加し、そこに液体二酸化炭素を導入して透明な水・液体二酸化炭素二相系とし、ここに水銀キセノン灯から紫外・可視光照射して長鎖パーフルオロカルボン酸類の分解を試みた。その結果、期待通りこれらの長鎖パーフルオロカルボン酸類は室温でフッ化物イオンまで分解した。長鎖パーフルオロカルボン酸類の分解率は液体二酸化炭素を導入しない場合(水のみの単相系)の6.1-51倍に達し、パーフルオロアルキル鎖が長いものほど効果が顕著であった。この方法で環境実試料(床用ワックス溶液)中のPFNAの分解にも成功した。
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Research Products
(3 results)