2007 Fiscal Year Annual Research Report
テラヘルツ光による単一量子ドットの電子スピン転送操作
Project/Area Number |
17310056
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
足立 智 Hokkaido University, 大学院・工学研究科, 准教授 (10221722)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸田 泰則 北海道大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (00313106)
武藤 俊一 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (00114900)
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Keywords | 単一量子ドット / 電子スピン / 核スピン / STIRAP / 量子状態制御 / InAIAs / 光双安定 / スピンコヒーレンス |
Research Abstract |
本研究ではTHz光またはレーザー光を用いて,磁場中におかれた結合量子ドットのゼーマン分離した電子準位間でのスピン転送技術を確立することを目的としている.そのために以下の2つの手法の比較を実験的におこなった;テラヘルツ光を使用する手法と連続準位を介した2光子過程を用いる方法を試み,後者の手法で良好な結果を得た.単一量子ドットの磁場下でゼーマン分裂した2つの励起子準位(スピンアップとスピンダウン)の間を量子ドットの連続準位の裾を中間準位とした系において,各励起子準位からの発光をモニターすることにより,連続状態のコヒーレント励起による励起子スピン状態の制御が可能であることを実証し,論文化した.時間差をつけたダブルパルスによる同軸励起を用いることにより,パルス時間差の関数として励起子スピンの同位相および逆位相での振動の観測に成功したが,逆位相で振動する場合には,発光強度の振動だけでなく,ゼーマン分裂エネルギーの振動も観測された.これはゼーマン分裂した励起子準位の占有確率が逆位相で振動する場合,励起子スピン偏極度の振動となるため量子ドットの核スピンが偏極され,電子が感じる実効的な磁場強度が核磁場により変調されたためと考えられる.この結果により,量子ドットの電子スピンと核スピンのコントロールに,連続状態をラムダ型遷移の中間準位として使用可能であることが初めて示しめされた.また電子スピン-核スピン間の磁気的相互作用を詳細に調べ,核スピン分極の励起強度・励起偏光・外部磁場依存性に双安定領域が現れることをInAlAs単一量子ドットで初めて明らかにした.この成果により外部磁場を完全にキャンセルする核磁場が双安定領域の一端で自動的に形成されていることが判り,電子の実効g因子=0を達成するとともに,新たなg因子制御法を確立した.
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Research Products
(31 results)