2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17310059
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
三谷 忠興 北陸先端科学技術大学院大学, マテリアルサイエンス研究科, 教授 (50010939)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 明比古 北陸先端科学技術大学院大学, マテリアルサイエンス研究科, 助教授 (70272458)
田中 啓文 分子科学研究所, 分子スケールナノサイエンスセンター, 助手 (90373191)
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Keywords | 金属クラスター / 触媒活性 / EXAFS / TEM |
Research Abstract |
ナノチューブの表面に担持された白金クラスターは処理温度に応じてそのサイズが原子サイズから数ナノの範囲でそのサイズを制御できる。本研究では、この金属クラスターの構造変化を透過電子顕微鏡(TEM)による直接観察やXRD、XPSなどのX線分光測定法によってin-situで調べると同時に、クラスター構造に直接的に関与する物性測定(触媒活性測定、THz領域での分光測定など)を行うことによって、白金クラスター構造のもつ意義をまず実験的に明らかにした。さらに、密度半関数法(DFT)を用いた大規模第一原理計算を行うことによって、CNTに金属白金クラスターが担持されると金属とCNT間に錯形成が生じて、金属からCNTへの電荷移動が起こることが判明した。この錯形成の特徴を反映して、金属と電導電子(e-)の間にクーロン引力が存在し、かなり大きな半径r_0を持った束縛状態(錯形成励起子)が生じることが明らかになったことは注目に値する。この束縛エネルギー(E)は金属の種類とサイズ依存性を持つ仕事関数と金属の分布状態に著しく依存する。理論計算結果から見れば、金属クラスターの表面分布の濃度が増加すると、束縛状態間に重なりが生まれ、束縛状態が解かれることによって金属状態に転移することが期待される。半導体分野でのいわゆる"モット転移"に対応した"半導体-金属"転移が起こる可能性を示唆する。 一方、燃料電池への応用の可能性をより明確にするために、メタノールアルコール触媒活性に対するナノ粒子のサイズ依存性を詳細に調べた。1nm程度の微小な金属クラスターがもっとも活性が高く、サイズが大きくなるに従って活性が落ちていくことも明らかとなった。また、実際に燃料電池を試作して、このシステム(ナノチューブ担持白金クラスター電極)を実用化する際の有用性と問題点を明らかにした。
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Research Products
(3 results)