2006 Fiscal Year Annual Research Report
立体混雑したトリアリールホスフィンを鍵構造とする巨大分子の構築
Project/Area Number |
17310063
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐々木 茂 東北大学, 大学院理学研究科, 助手 (90254143)
|
Keywords | トリアリールホスフィン / キノン / オリゴマー / ニトロキシド / アゾベンゼン / 酸化 / 還元 / 電荷移動吸収 |
Research Abstract |
立体混雑したブロモアリールホスフィンより調製したアリールボロン酸エステルと3,6位に4-メチルフェニル基又は4-トリフルオロメチルフェニル基等を有する2,5-ジクロロ-1,4-ベンゾキノンとの鈴木カップリングを鍵反応としてトリアリールホスフィン-キノン鎖状及びデンドリマー状オリゴマーを段階的に合成した。キノン上のアリール基上に電子求引基であるトリフルオロメチル基を導入してもサイクリックボルタモグラムから推測される還元系の可逆性に変化に大差はないが、オリゴマーのサイズに関係なくキノン部位は0.2Vほど還元されにくくなり、電荷移動吸収は30nmほど長波長シフトすることから、キノン上のアリール基上の置換基によりある程度のトリアリールホスフィン-キノンオリゴマーの性質制御ができることがわかった。また、トリアリールホスフィン同士の連結部位としてニトロキシドを用いると系に中性状態で不対電子が導入できるのに加え隣接したトリアリールホスフィン間で大きな静電的相互作用を達成できることが明らかになった。一方で、一般に光異性化ユニットとして期待されるアゾベンゼンを連結部位として用いた場合は、極性溶媒中の光照射では、トリアリールホスフィンの嵩高さ、或いはトリアリールホスフィンの光照射下でのカチオンラジカルへの酸化との競合のために光異性化を観測することはできなかった。リン原子上のアリール基の2,6位の置換基としてシクロヘキシル基等の嵩高い置換基を導入することはリン原子上の酸化還元系、対応するカチオンラジカルの絶大な安定化につながり、トリアリールホスフィン-キノン等の基本ユニットの基礎的性質の解明に有効であることがあきらかになってきた反面、オリゴマーの溶解度や合成の容易さという点ではイソプロピル基が実用的に優れていることが明らかになった。
|
Research Products
(2 results)