2007 Fiscal Year Annual Research Report
金属ナノ接点の電流誘起破断とそのナノギャップ電極作製への応用
Project/Area Number |
17310072
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
酒井 明 Kyoto University, 工学研究科, 教授 (80143543)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒川 修 京都大学, 工学研究科, 准教授 (90303859)
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Keywords | 金属ナノ接点 / 電流誘起破断 / 破断電圧 / 原子サイズシリコン接点 / 機械制御破断接合(MCBJ) |
Research Abstract |
本研究は,金属ナノ接点における電流誘起破断の研究を深化発展させ,破断機構を解明するとともに,その成果を電流誘起破断を利用したナノギャップ電極作製に応用することを目的としている.平成19年度の成果は以下の通りである. 1.超高真空のMCBJ装置を用いて金および銅の単原子接点を作製・保持し,バイアス電圧をスイープして接点が破断する電圧を測定した.金の単原子接点では,破断電圧は1V付近を中心に幅広く分布しており,平均値は1.1Vである.この値はSmitらによろ極低温で測定された破断電圧(1.2V)よりも僅かに低いが,破断電圧分布は良く一致しており,破断電圧が温度に強く依存してはいない.一方,銅単原子接点の平均破断電圧は約0.7Vであり,銅単原子接点の高バイアス安定性は金単原子接点よりも低くなっている.この結果は以前の我々がSTM接合を使用して得た結果と一致している.破断電圧に関して熱活性化モデルを仮定した解析を行ったところ,金単原子接点の場合にはほぼ妥当な結果が得られた.しかし銅単原子接点では寿命と破断電圧とが整合せず,単純な熱活性化モデルによる解釈は困難である. 2.シリコン探針-シリコン試料の破断接合を用いて超高真空中でシリコンの原子サイズ接合を作製し,コンダクタンス測定を行った.コンダクタンスと接合の引き離し距離との関係は局在伝導の関係と一致しており,おそらく破断接合により作製されたシリコンの原子サイズ接合は強い不規則性を含み,そのために電子が局在化していると推定される.
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Research Products
(9 results)