2006 Fiscal Year Annual Research Report
新規ペプチド・炭化フッ素ハイブリッド人工肺サーファクタントの基盤及び開発
Project/Area Number |
17310075
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
柴田 攻 九州大学, 大学院薬学研究院, 助教授 (10117129)
|
Keywords | 肺サーファクタント / 表面・界面物性 / ナノ材料 / Langmuir単分子膜 / 表面電位-面積等温線 / 表面圧-面積等温線 / 原子間力顕微鏡 / 蛍光顕微鏡 |
Research Abstract |
本年度は、新規サーファクタントプロテインアナログ(Hel 13-5)とモデル膜構成成分(DDPC)の基礎物性および調製開発を界面科学的に明らかにした。結果を以下に示す。 新規ペプチドの合成:SP-B, SP-Cを考慮し,両性質を合わせ持つペプチドを設計,Hel 13-5のD体を合成した。 Langmuir膜の基本物性測定の結果各系において次のことが明らかになった。 DPPC/Hel 13-5(D3)system DPPCは、展開溶媒系の違いにより蛍光顕微鏡形態学的観察において、LCドメインに顕著な差が観察され、この機構は現在考察中である。Hel 13-5(D3)単独系において、蛍光画像に二相共存領域が観察され、この現象はHel 13-5L体においては観察出来ておらず、新規の発見である.またDPPC/Hel 13-5(D3)において、Hel 13-5(D3)の組成に依存し、転移圧及び崩壊圧が上昇した.この挙動もHel 13-5 L体においては観察出来ておらず、あらたな発見である.新規人工ペプチドHel 13-5(D3)の天然の肺サーファクタントに見られるスクイズアウト現象に相当するほぼ平坦部分が存在し、肺サーファクタントタンパクアナログとしての十分の可能性を示した。これから多成分系に展開し既存薬Surfacten (R)(サーファクテン:牛肺抽出物)との比較に取り組む。 ペプチド・炭化フッ素ハイブリッド人工肺サーファクタント系 2種の部分フッ化両親媒性物質(FC)を人工調製サーファクタント系に組み込み、それらの気/液界面挙動を系統的にLangmuir isothermsより遂行した. FCは膜の圧縮に伴ってHel 13-5と共にDPPC単分子膜から排出された。長鎖FCは、Hel 13-5の排出現象を促進した。特に長鎖FCを5〜10wt%添加すると、高圧部においてDPPCと混合単分子膜を形成することにより著しい膜安定化作用を示した。 これらの結果、部分フッ素化両親媒性物質(長鎖FC)の添加によって高価なHel 13-5を少量化でき、さらに人工調製肺サーファクタントの薬効の増大が期待でき、更に医療コストを考慮すると、その機能はサーファクテンより優れていると考えられる。
|
Research Products
(3 results)