Research Abstract |
高解像度衛星は,1999年のIKONOSの打上げ成功以来,幾つかが軌道に乗り,災害直後の画像を取得したが,事前画像が得られていなかった.しかし,2003年に発生したアルジェリア地震とイラン・バム地震では,QuickBird衛星が災害前後の被災地域を鮮明に捉えている.これまでの目視判読による検討でも,災害前後の画像を比較する方が被害抽出精度が高いことが分かり,早急に2時期画像の変化抽出に基づく被害自動判読法を開発する必要性がある.このために解決すべき課題も幾つかあり,高解像度衛星の場合はセンサの角度を変えることにより短い時間間隔で被災地域を撮影するため,災害前の画像との位置合わせが極めて困難である.また,建物等の影の影響が大きく,瓦礫が散乱している建物周辺の影部の感度を向上させる必要もある.本研究では,高解像度光学センサ画像の2時期比較による被災建物等の自動抽出法の開発を行っている. 今年度はイラン・バム地震と2004年スマトラ地震津波の災害前後の被災地域の高解像度衛星画像を用いて,最尤法によるピクセル分類とオブジェクト指向分類の2つの方法により,災害前後の分類を行い,その結果の比較を行って,被害抽出における分類方法による精度の比較を行った.また,この結果と事後画像のみを用いた被害判読との精度の違いを検討した.また,分類に用いるパラメータの影響や,影や雲の取り扱いについても検討した.その結果,高解像度衛星画像についてはオブジェクト指向分類の方が,細かい分類エラーが出にくく,精度よく分類できることが明らかになった.
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