2006 Fiscal Year Annual Research Report
歴史地震の詳細震度分布図の作成と断層パラメータの推定に関する研究
Project/Area Number |
17310105
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
都司 嘉宣 東京大学, 地震研究所, 助教授 (30183479)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
纐纈 一起 東京大学, 地震研究所, 教授 (90134634)
佐藤 孝之 東京大学, 史料編纂所, 教授 (30170757)
中西 一郎 京都大学, 理学研究科, 助教授 (10164229)
草野 顕之 大谷大学, 文学部, 教授 (20177984)
|
Keywords | 宝永地震 / 安政東海地震 / 安政南海地震 / ピンポイント詳細震度 / 大都市の地震津波災害 / アスペリティー |
Research Abstract |
平成19年度は、(I)歴史地震のピンポイント震度データベースの作成、および(II)歴史地震の断層モデルの推定、の2つの研究を行った。主として(I)であって、(II)は平成19年度に本格的に行う。 (I)次の各歴史地震に対して史料調査、事象のピンポイント・データベース化を進めた。 (1)宝永地震(1707)、安政東海地震(1854-a)、および安政南海地震(1854-b) a.静岡県、大阪府、および四国各県に対して、ピンポイント詳細震度分布図を作成した。 大阪平野には、弥生時代(2世紀-4世紀)に「河内湖」とよばれる大阪湾とつながった入り海があったことが地質学的に証明されているが、安政南海地震の大阪平野の震度分布の大きかった場所が、この先史時代の河内湖の領域と良い対応関係を持っていることが解明された。 b.宝永地震、および安政南海地震のさい大坂の市街地内の堀川に侵入した津波による海水到達範囲、橋の落下、死者数の詳細を解明した。さらに、当時の大坂市民の心理行動ついて考察した。 (2)寛文2年(1662)北近畿地震、および文政12年(1830)京都地震 当時の京都の区割り、著名人や寺院寺社の配置を解明し、地震史料から知られる個々の建物の被害状況から知られる震度を推定して、京都市街地内の詳細震度分布図を作成した。京都市街地のうち、鴨川の両岸直近の街区で特に震度が大きかったことが判明した。明白に花折断層とその南の延長線上の直西に当たる街区で大きな震度を経験したことが判明した。また京都郊外の、伏見や大原など周辺地域の詳細震度も解明された。 (3)江戸を襲った歴史地震 元禄関東地震(1703)、および安政江戸地震(1855)による江戸市中の詳細震度分布を解明した。この2回の地震で江戸市中で震度の大きかった場所は、きわめて相似しており、現在の地図で日比谷・大手町・神保町・水道橋にいたる線で特に震度が大きかったことが判明した。 (II)安政南海地震(1854-b)の断層モデルの推定 安政南海地震(1854-b)について津波波高分布、地変分布、震度分布データを最も合理的に説明する断層モデルを決定した。この研究では断層面上での特に主要なすべりを起こした部分、すなわちアスペリティーの解明を試みた。得られた結果は、昭和21年(1944)昭和南海地震のそれにきわめて良く相似していて、しかもすべりの絶対値がその約1.5倍にも達していたことが解明された。
|
Research Products
(5 results)