2006 Fiscal Year Annual Research Report
イネ完全長cDNAを用いた高速有用形質探索のゲノム的アプローチ
Project/Area Number |
17310120
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
松井 南 独立行政法人理化学研究所, 植物ゲノム機能研究チーム, グループディレクター (80190396)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市川 尚斉 独立行政法人理化学研究所, 植物ゲノム機能研究チーム, 上級研究員 (30221766)
近藤 陽一 独立行政法人理化学研究所, 植物ゲノム機能研究チーム, リサーチアソシエイト (00391954)
|
Keywords | イネ完全長cDNA / カドミウム / 耐性 / 変異体 |
Research Abstract |
日本の稲作において、玄米へのカドミウム蓄積は多大な被害を及ぼす。本研究では完全長イネcDNAを個別に導入したイネFOXラインを用いてカドミウム耐性となる変異体の単離を行い、植物体内へのカドミウム蓄積に影響を与えるイネ遺伝子の同定を行う。このためにイネcDNAを高発現するシロイヌナズナ形質転換植物の集団より、培地にカドミウムを添加したシャーレによって耐性変異体選抜を行った。 結果:25μMの塩化カドミウムを含む寒天培地上にライン化されたT2世代のイネFOXライン種子を播種し、1週間の春化処理の後、連続白色光下で1週間生育させた。この時、根は培地上を這わせるように生育させ、野生型と比較して、根が長くなっていたラインをカドミウム耐性変異系統の候補とした。選抜されてきた系統は同様の方法でさらに2回選抜を繰り返し行い、候補となる系統の絞込みを行った。 上記のようなスクリーニングにより、現在までに約2000系統の独立したイネFOXラインから4系統のカドミウム耐性候補株が得られており、これらに含まれるイネcDNAの同定を行った。このうちbZIP型転写因子をコードする1系統について解析を行った。この系統はさらに高濃度(100μM)のカドミウム曝露下でも耐性を示した。 今後は、同定できたイネcDNAのシロイヌナズナやイネを含む他の植物の再導入を行い、表現形が再現できるかの確認を行う。これらの結果からイネのカドミウム吸収・転流のメカニズムを明らかにして、玄米へのカドミウム転流阻止を行う。
|