2007 Fiscal Year Annual Research Report
イネ完全長cDNAを用いた高速有用形質探索のゲノム的アプローチ
Project/Area Number |
17310120
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
松井 南 The Institute of Physical and Chemical Research, 植物ゲノム機能研究チーム, グループディレクター (80190396)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市川 尚斉 独立行政法人理化学研究所, 植物ゲノム機能研究チーム, 上級研究員 (30221766)
近藤 陽一 独立行政法人理化学研究所, 植物ゲノム機能研究チーム, リサーチアソシエイト (00391954)
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Keywords | イネ / cDNA / カドミウム / 耐性 / 形質転換 |
Research Abstract |
本研究では昨年に引き続いて、イネ完全長cDNAを個別に導入したイネcDNA導入ラインを用いてカドミウム耐性となる変異体の単離を行い、植物体内へのカドミウムの吸収について、有効なイネ有用遺伝子の探索を行った。25μMの塩化カドミウムを含む1.2%寒天培地上にライン化されたT2世代のイネcDNA導入ライン種子を播種し、1週間の春化処理の後、連続白色光下で1週間生育させた。この時、根は培地上を這わせるように生育させ、野生型と比較して、根が長くなっていた系統をカドミウム耐性変異系統の候補とした。選抜されてきた系統は同様の方法でさらに2回選抜を繰り返し行い、候補となる系統の絞込みを行った。約7000系統のイネcDNA導入ラインから最終的に17系統のカドミウム耐性候補系統が得られた。このうち、6系統がカドミウム培地上でのみ根が長くなる変異体であり、その他11系統はカドミウムの有無に関わらず根が長くなる変異体であった。単離された6ラインに含まれる計7種類のイネcDNA(1系統は2種類のcDNAを含んでいたため)のシロイヌナズナへの再導入を行ない、表現型の再現性について調べた。その結果、2種類のcDNA再導入系統(各々、ミトコンドリア局在タンパク質、オーキシン制御タンパク質をコードする)はカドミウムの有無に関わらず根の長くなる形質を示し、1系統のcDNA再導入系統(bZIP型転写因子をコードする)は表現型を再現しなかった。他の1系統のcDNA再導入系統は機能未知タンパク質をコードしていた。残り3系統のcDNA再導入系統は各々グリコシドヒドラーゼ、Znフィンガー型転写因子、ストレス誘導性タンパク質をコードしていた。また、これらのcDNAはイネへも再導入を行った。
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