2006 Fiscal Year Annual Research Report
tRNA擬態タンパク質によるリボソーム普遍機能と生体高次機能の発現機構解明
Project/Area Number |
17310123
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 耕一 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (10262073)
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Keywords | 翻訳終結 / 翻訳制御 / リボソーム / リコーディング / ペプチド鎖解離因子 / 蛋白質合成 / tRNA分子擬態 / 遺伝子発現制御 |
Research Abstract |
(1)tRNA擬態分子とリボソームの機能性解明:異常なmRNA、もしくは異常な読み枠での翻訳は不良なタンパク質産物の合成につながる。一方で、異常なmRNA翻訳においては、効率のよいコンテクストでの終止コドンが提示されない為に翻訳終結の効率が低下し、リボソームが停止した状態になりがちなことが示されている。これらの知見から、我々は、tmRNAによるタンパク質品質管理機構の発動が、非効率な終止コドンでも起きうることを、大腸菌においてモデル系を作成することで検証した。その結果、終止コドンで不良タンパク質を合成中のリボソームは、終止コドン部位で停止するとmRNAの切断活性を誘起し分解を促進するとともに、tmRNAの働きにより不良タンパク質の分解を容易にすることを実証し論文公表した。 (2)これまでに明らかにしたX線結晶構造に基づき、真核生物ペプチド鎖解離因子eRF3のN末端領域が様々な相互作用因子群との相互作用を介し機能性を制御するというモデルを提案し検証を進めた。結合因子とeRF3の機能性の相関を評価する新規な活性想定系を構築し検証を行った。その結果、eRF3に結合する因子群のうち、N末端部位に結合する二つのタンパク質、リングフィンガー様蛋白質Itt1p、および、細胞骨格結合蛋白質Sla1pに関してeRF3の機能性・蛋白質安定性に、それぞれが正負に寄与する因子である事を実証することに成功した。本成果は、様々な細胞内mRNAの動態を制御する翻訳終結機能が、細胞内でのタンパク質分解系と共役していることを報告した最初の知見である。
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Research Products
(3 results)