2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17310135
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
横田 明 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助教授 (40106638)
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Keywords | 細菌系統分類 / 微生物多様性 / 16S rRNA遺伝子 / Proteobacteria / Verrucomicrobia / Cyanobacteria / Bacteroidetes / Actinobacteria |
Research Abstract |
本研究は細菌系統分類学の確立と生物資源の確保に寄与することを目的として、有用細菌全般にわたって検討を行った。具体的には、広く細菌の多様性に注目して自然界より菌株の分離を行い、形態、生理・生化学的性状、化学分類学的性状に加えて、分子系統の情報を加えた多面的アプローチから細菌系統の解析を行い、これらの結果をもとに正しい分類群への位置付けを明らかした。本年度実施した研究内容は、 1 Proteobacteria門の菌株 新規の海洋細菌の分離株について系統解析を含めた分類学的解析を行い、γ-Proteobacteriumの新種と判明したので、Pseudovibrio ascidiaceicola, Pseudovibrio japonicaを提唱した。 2 Bacteroidetes門の菌株 海草から分離した滑走運動性でBacteroidetes門の細菌株1株は新種と判明したので、Aureospira maritimaを提唱した。また海洋環境から分離された株について検討した結果、新属新種と判明したのでPerexilibacter aurantiaca gen. nov., sp. nov.およびPersicitalea jodogahamensis gen. nov., sp. nov.を提唱した。また、海水より分離された菌株について新種Flammeovirga kamogawensisおよびLoktanella atroaurantiacaを提唱した。 3 Verrucomicrobia門の菌株 海中環境を模倣したin situ cultureの手法を用いて、海水から分離された菌株について系統分類学的位置を明らかにし、さらに、生化学的解析を試みた。その結果、これらの菌株は、真正細菌の細胞壁の主な構成成分として知られているペプチドグリカンを欠如しているものと考えられた。これらの菌株をVerrucomicrobia門の新属新種Coralimargarita akajimensis、Pelagicoccus mobilis, P.albus, P.litoralis,およびCerasicoccus arenaeとすることを提唱した。この様に、Verrucomicrobia門のPuniceicoccales目の細菌群は、グラム陰性細菌よりもさらに原始的な細胞壁を有している可能性が強く示唆された。 4 Cyanobacteria門の菌株 地衣類に共生するシアノバクテリアの分離を試み、形態と分子の両形質の統合的解析から分離株の同定を試みた。 5 Firmicutes門の菌株 土壌から分離した好気性有胞子細菌株について、系統解析による遺伝形質と形態、生理・生化学的性状、化学分類学的性状の比較による表現形質との多角的解析を行い、新属新種Terribacillus saccharophilus gen. nov., sp. nov.および新種Terribacillus halophilus, Paenibacillus terrigena, Virgibacillus halophilus, Sporosarcina saromensis, Amphibacillus sedimentumを提唱した。 6 Actinobacteria門の菌株 土壌および地衣類から分離した放線菌株について、系統解析による遺伝形質と形態、生理・生化学的性状、化学分類学的性状の比較による表現形質の多角的解析を行い、新種Nocardioides exalbidus, Amycolatopsis echigoensis, Amycolatopsis niigatensis, Rhodococcus kyotonensis, Leifsonia lichenia, Rhodoglobus aureusを提唱した。
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Research Products
(23 results)