2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17310143
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
高橋 基樹 Kobe University, 大学院・国際協力研究科, 教授 (30273808)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
アレキサンダー ロニー 神戸大学, 大学院・国際協力研究科, 教授 (40221006)
福井 清一 神戸大学, 大学院・国際協力研究科, 教授 (90134197)
高橋 眞一 神戸大学, 名誉教授 (80030683)
小川 啓一 神戸大学, 大学院・国際協力研究科, 教授 (90379496)
笹岡 幹子 (西村 幹子) 神戸大学, 大学院・国際協力研究科, 教授 (20432552)
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Keywords | 貧困 / 脆弱性 / 制度構築 / 開発途上国 / 人口増加 / HIV / AIDSと女性 / 国家と公共政策の不在 / 人的資本形成 |
Research Abstract |
当該科学研究費では、第一に、現代の変動を受けて、開発途上国における貧困および生命・身体・厚生の脆弱性がどのように変容しているかを明らかにすること、第二に、貧困・脆弱性の新しいあり方に対応し、適正な社会制度を設計することを目的とした。この目的の下で、開発途上国から東南アジア(特にラオス)、アフリカ(特にタンザニア)を取り上げ、現地調査を行った。本研究では、貧困・脆弱性という属性をかかえる主体として特に女性や子ども、農民、都市インフォーマル部門の零細・小規模企業に注目した。また、貧困や脆弱性の変容の要因としてHIV/AIDS等の感染症の蔓延、人口増加とそれによる資源の希少化、都市化と国家の規制に焦点を当てた。また、脆弱性を軽減する経路としての教育等による人的資本の形成に注目した。 平成19年度は、ラオス及びタンザニアにおいてすぐ上で述べた課題を中心として、最終的な現地調査を行い、その他の関連調査を合わせて研究のまとめを行った。調査を通じて、本研究が置いていた、貧困・脆弱性を軽減するために社会制度構築の主体となる政府の能力の欠如が浮き彫りとなった。このことは、社会制度設計の前提となる、政府ないし国家のあり方の再検討が、今後の研究のなかで必要であることが明らかになったことを意味する。そうしたなか、人的資本形成のための政策、特に教育開発政策は具体的な行動と帰結の見られる数少ないものであり、これに注目してゆくことが今後の研究のもうひとつの課題として明らかになった。これらの論点は、学界においていまだ十分の議論の蓄積のないものであり、これらを議論の俎上に乗せたことの意義は大きいと考えられる。
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Research Products
(13 results)