2005 Fiscal Year Annual Research Report
ジェンダー視点によるワーク・ライフ・バランスの生活時間構造分析
Project/Area Number |
17310152
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Research Institution | The University of Shimane |
Principal Investigator |
藤原 眞砂 島根県立大学, 総合政策学部, 教授 (50209128)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久場 嬉子 龍谷大学, 経済学部, 教授 (50014808)
矢野 眞和 東京大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (30016521)
平田 道憲 広島大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (30111660)
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Keywords | ジェンダー / 性別役割 / 女性学・男性学 / 経済・労働 / ワーク・ライフ・バランス / 家族 / 生活時間 / 社会政策 |
Research Abstract |
1.藤原は2001年総務省『社会生活基本調査』のミクロデータの再集計値を用い、日本の正規雇用の男女のホワイトカラー労働者(勤務日でない人は除く)のワークライフバランスを考察した。午後5時半を境に、以前を退勤グループ、以後を残業グループと二分して、両者の生活スタイルの比較した。退勤グループの生活をワークライフバランスのとれた生活スタイルと見なして、それとの比較で残業グループの生活のインバランスを観察した。その結果、残業時には男性は仕事にすべて時間を吸われて、全ての生活行動(通勤行動を除く)の時間が減少に転じるのに対して、女性の場合に食事や身の回りの用事といった行動に関してはそれを護持している。この男女間での差異に関する知見は、本研究における大きな成果である。これは残業グループをいくつかの時間帯グループ(残業時間が短いグループから長いグループ)に分けて考察した場合でも男女間で同様の結果を観察できた。女性の特徴は独身の女性であっても、また既婚の女性、さらには10歳未満の子供のいる既婚女性、いない既婚女性に分けた場合でも観察できた。女性の場合、残業をしても食事と身の回りの用事の時間量が変化しないのは、残業により犠牲になった行動を後刻、回復させるという行動(本研究独自の研究手法である時刻別行為者率アプローチでは「戻し現象」として観察される)により実現されたものであったことも発見した(研究成果は2006年『労働社会学会年報』に掲載)。 平田は1992年のカナダの統計局のミクロデータと1991年の日本の総務省のミクロデータを用い、男女の睡眠について興味深い発見をした。すなわち、日本の女性は男性に較べて遅寝、早起きで睡眠時間が短いのに対して、カナダの女性は男性より遅起きで睡眠時間が長い、という事実である。カナダのデータでは朝早く起きる夫が子供の登校の世話まで見て、妻はその後起きるというケースさえ彷彿させるデータであった。 2.藤原、平田は国際生活時間学会(2005年、カナダ、ハリファックス)で上記成果を研究発表した(「11.研究発表」参照)。 3.年度の研究総括のために開催された研究会(2006年3月開催)では、メンバーの研究成果の発表(主として上記2名の研究結果の発表に多くの時間が割かれた)と質疑応答、情報交換がなされた。
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Research Products
(4 results)