2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17320011
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
砂山 稔 岩手大学, 人文社会科学部, 教授 (00091702)
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Keywords | 道教 / 文学 / 重玄派 / 茅山派 / 李含光 / 成玄英 / 李栄 / 色彩学 |
Research Abstract |
17年度は、予定の陳子昂・李白と道教との関係、『太上慈悲道場消災九幽懺』の研究の外、道教重玄派の成玄英や李栄の研究も進捗させた。 1)陳子昂・李白と道教との関係の考察 このうち、陳子昂については、彼の「荊州大崇福観記」に見える『道教義枢』の著者とされる孟安排との関係や、彼の詩文に現れる道教に関する言葉を検討してその重玄派道教との接点を考察中である。また、敦煌本の陳子昂の文集の考察も同時に行っている。『道教義枢』については、麥谷邦夫氏が論文を発表されたので、それも視野に入れて検討を進めている。更に道教的詩人と言われる李白については、茅山派の宗師である司馬承禎や呉〓との交友関係について考察を進めており、呉〓についてはその著作に何故「重玄」の語が現れるのかについても見解を示すべく検討中である。 2)『太上慈悲道場消災九幽懺』の研究 『太上慈悲道場消災九幽懺』は、盛唐時代の茅山派の宗師である李含光の序があり、呉の葛玄の纂と称されているがそれは仮託であって、あるいは李含光その人の手に出るとの吉岡義豊氏の説は相当に有力なものと言えるであろう。そして、この書の中には『九幽経』は勿論、『本際経』も引用されているが、これも奇妙なことにその経名を記してはいない。この書の伝える『本際経』の経文は、盛唐時代の伝承を伝える有力なものと見られる。おそらく、この『太上慈悲道場消災九幽懺』は茅山派道教による第二次の重玄派道教の経典の摂取の状況を伝えるものであろう。もし、そうであれば、盛唐時代の重玄派道教の経典の流行を示す重要な資料であると考えられるのである。ただし、この書には盛唐時代に行われていた道教経典が引用されていると見られるのでこれを詳細に検討する。この道典は、唐代道教史上における李含光の位置を確定するものとなるのではないか。更に検討を進めて行く。 3)成玄英・李栄の研究 道教重玄派の成玄英の色彩観や李栄の『洗浴経』の研究も合わせ行った。『洗浴経』に関する見解は近刊予定である。
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Research Products
(3 results)