2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17320011
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
砂山 稔 岩手大学, 人文社会科学部, 教授 (00091702)
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Keywords | 道教 / 文学 / 重玄派 / 茅山派 / 李含光 / 李榮 / 李白 / 宇宙観 |
Research Abstract |
1)洗浴経の研究 敦煌本『太上霊宝洗浴身心経』は、初唐の重玄派の李榮の手になる『洗浴経』であり、李榮の『道徳経注』との関連も指摘されることを述べた。 2)重玄派の存在に対する疑問への反論 小林正美氏等の重玄派の存在に対する疑問への反論を行い、楕唐道教像を是正した。 3)李白の研究 李白と銀河・宇宙観との関わりについて研究を進め、口頭発表を行った。今後、道教との関わりについてより詳細な研究を進めていく。 4)『太上慈悲道場消災九幽懺』の研究 「九幽懺」であるから、これは、道教重玄派の劉無待の『九幽懺』の流行を前提とした著作であろう。この著作が実際どのように使用されたかは興味のある問題でもある。 茅山派の宗師が関わる著作で重玄派道教の経典を数多く引用しているものには、潘師正かその弟子の手になると考えられる『道門経法相承次序』があり、これは、いわば茅山派道教による重玄派道教の経典の第一次の摂取である。 盛唐時代の茅山派道教の宗師李含光の序のある『太上慈悲道場消災九幽懺』は、恐らくは、李含光その人の手に出るものであろう。この書の中には道教重玄派の手になる『九幽懺』『本際経』をはじめとして盛唐時代に行われていた道教経典が引用されている。これは茅山派道教による第二次の重玄派道教の経典お摂取の状況を伝えるものであろうと推定される。これは、盛唐時代の重玄派道教の経典の流行を示す重要な資料であると考えられるが、まだ、この著作を読んでいる段階であり確定的なことは言えない。19年度も継続して行く課題である。
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Research Products
(2 results)