2005 Fiscal Year Annual Research Report
接触空間における危機と共生の文化研究-海港都市・神戸と文化混淆の諸経験
Project/Area Number |
17320021
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
緒形 康 神戸大学, 文学部, 教授 (40194427)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
嘉指 信雄 神戸大学, 文学部, 教授 (20264921)
田中 康二 神戸大学, 文学部, 助教授 (90269647)
樋口 大祐 神戸大学, 文学部, 助教授 (90324889)
濱田 麻矢 神戸大学, 文学部, 助教授 (90293951)
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Keywords | 接触空間 / 東アジア共同体 / 旅遊体験 / 歴史と記憶 / 華人社会 / 神戸の近代 / 海港都市 / 日中関係 |
Research Abstract |
研究第1年目は、「地域心象地理分科会」「複数文化分科会」「ジェンダー分科会」「コロニアリズム分科会」「危機と共生分科会」の5つの分科会を置き、個別研究を開始した。 「地域心象地理分科会」では、兵庫県立図書館郷土資料室における神戸文化関連資料(手稿)の整理、『史蹟名勝つ天然記念物』の成立経緯に関する聞き取り調査、神戸大学付属山口誓子記念館『山口文庫』の整理を行った。 「複数文化分科会」では、神戸居住外国人に対する調査、奄美・対馬・長崎における調査を行った。特に、神戸における具体的な複数文化の接触の舞台(YMCA、トーアホール、神戸外国人倶楽部等)に関するインタビューの準備を進めた。 「ジェンダー分科会」では、神戸と東アジア海港都市のジェンダー編成の同一性と差異の研究を行った。『国際学術シンポジウム「接触空間と旅遊体験」報告要旨』に発表した「女学校遥かなり」はその成果である。 「コロニアリズム分科会」では、孫文、胡適、タゴールなどの神戸訪問に関する初歩的調査を始め、神戸を起点とする東アジア海港都市文化交流の整理と分析を行った。論文「『思想連鎖としてのアジア』を読む」はその成果である。 「危機と共生分科会」では、神戸平和学の立場から見た東アジア海港都市の平和運動に関する提言を行った。論文「抑圧された「劣化」ウラン兵器問題」はその成果である。 本研究の重要テーマである東アジア海港都市間の文化交流の研究については、国立台湾大学との国際シンポジウムにおいて互いの情報交換と新たな知見の発見を得た。2006年1月14日に、神戸大学文学部・文化学研究科の主催で開催されたシンポ「接触空間と旅遊体験」がそれである。 シンポ招聘者である黄俊傑(国立台湾大学東亜経典与文化計画総主持人)、陳明姿(同文学院日本語文学系)、徐興慶(同)、朱秋而(同)の各氏からは、それぞれ「どうやって東アジアから思考を出発させるか」、「田能村竹田の長崎旅行」、「有吉佐和子の中国レポート」、「王韜の日本東遊経験」の学術報告を得た。 総じて、接触空間というわれわれの提起した新しい作業仮説を、神戸と東アジアの近代におけるさまざまな交流体験の中で検証することができた。
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Research Products
(7 results)