2006 Fiscal Year Annual Research Report
接触空間における危機と共生の文化研究-海港都市・神戸と文化混淆の諸経験
Project/Area Number |
17320021
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
緒形 康 神戸大学, 文学部, 教授 (40194427)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
嘉指 信雄 神戸大学, 文学部, 教授 (20264921)
田中 康二 神戸大学, 文学部, 助教授 (90269647)
樋口 大祐 神戸大学, 文学部, 助教授 (90324889)
濱田 麻矢 神戸大学, 文学部, 助教授 (90293951)
|
Keywords | 思想史 / 東洋史 / 比較文学 / 文学一般 / 倫理学 / 海港都市 |
Research Abstract |
本研究は、1914年から45年におけるモダニズムと総力戦争体制の時代における神戸の文化研究である。 当該期の神戸の危機と共生の諸経験を検討しながら、「接触空間」(複数の国籍の人々がいかなる媒介をも経ず接触し合う空間)における文化危機を新しい共生へと止揚するための、より一般的な文化認識の視座を構築しようとするものである。 本年度は、アジア航路の終点であるコロニアル都市・神戸が、植民地主義的な排除の暴力を、他者との共生の理念へと転換させた過程を」浮き彫りにすること、特に、神戸と東アジア海港都市とのネットワークに注目し、それが新しい文化融合と創造を生み出した諸経験を明らかにする作業に従事した。 実績の概要は、以下の3つである。 1、神戸の生んだ作家、村上春樹の文学の研究を通じて、彼の作品を「東アジア文学」の新しい可能性というこれまでにない視点から検討した。 2、「近代中国の父」孫文と「南海の巨人」南方熊楠との、神戸における大アジア主義講演に関する見解の相違を分析しながら、近代アジア主義の諸問題を考察した。 3、国立台湾大学における「東アジア文化交流」という国際シンポジウムに参加し、東アジアのモダニズムが、西洋とアジア、日本と東アジアの織り成す複層した構造のなから生まれてきた歴史状況を検討した。
|
Research Products
(6 results)