2005 Fiscal Year Annual Research Report
1880年代の民間レベルにおける日伊芸術交流史の再検討
Project/Area Number |
17320025
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小佐野 重利 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (70177210)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木下 直之 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (30292858)
浦 一章 東京大学, 大学院人文社会系研究科, 助教授 (90203596)
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Keywords | 日伊芸術交流 / 1880年代 / ファルサーリ / アレッサンドロ・ヅィレーリ / 横浜写真 / ヴィチェンツァ / エンリコ・ディ・ボロボーナ |
Research Abstract |
本年度研究実施計画の中心となるヴィチェンツァの市立美術館およびベルトリアーナ市立図書館所蔵のアドルフォ・ファルサーリの写真帖計2冊の調査・写真撮影のため、9月13日から22日の間、研究者代表者と2分担者がイタリアに調査滞在した。他に横浜開港資料館、早稲田大学図書館、神戸市立博物館に所蔵される写真の調査をした。上記の写真帖2冊とファルサーリがアメリカ合衆国および横浜からヴィチェンツァの両親と妹に宛てた書簡の一部を展示する展覧会"Un vicentino nel Giappone dell' Ottocento. Adolfo Farsari fotografo tra ideali e imprenditoria"が2005年春にベルトリアーナ市立図書館で開催された。しかし、今回の現地調査では同展覧会担当者たちに看過されたいくつかの新知見が得られた。以下に、調査から得られた新知見のみを列挙する。 1)ヴィチェンツァ市立美術館の写真帖にはファルサーリが手ずから彩色し、タイトルを金字で書いた扉絵と、ファルサーリの横浜商会事務所内で写した本人の肖像写真があることから、同写真帖は1888年および1889年にファルサーリが父や妹エンマに宛てた書簡に明記されている家族への贈り物の写真帖であることが判明した。 2)ベルトリアーナ市立図書館所蔵の写真帖は、表紙にある日本のイタリア語表記の綴り間違いやアルバム構成の不自然さから、ファルサーリ死後にイタリアで纏められたアルバム帖と思われる。中に、横浜ファルサーリ商会の従業員の集合写真等、本研究にとりきわめて貴重な新出写真数葉を見出せた。 3)ファルサーリの永眠する墓を、ヴィチェンツァ市公設墓地埋葬者記録簿との照合から特定した。 4)日本人女性との間に生まれた娘キクに関する情報および肖像写真を入手できた。同時にキクの遺品の中に父の遺品があることが判明した(これについては、平成18年度イタリア調査でより明確になろう)。
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Research Products
(2 results)