2005 Fiscal Year Annual Research Report
朝鮮古代の文人官僚・崔致遠の人と作品に関する歴史文学的研究
Project/Area Number |
17320058
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
濱田 耕策 九州大学, 人文科学研究院, 教授 (40137881)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴田 篤 九州大学, 人文科学研究院, 教授 (00117128)
静永 健 九州大学, 人文科学研究院, 助教授 (90274406)
|
Keywords | 崔致遠 / 新羅 / 東アジア文化交流 / 四山碑銘 / 朝鮮の漢文学 / 朝鮮の儒学 / 菅原道真 |
Research Abstract |
1.〔調査〕濱田は「萬壽山聖住寺朗慧和尚白月つつむ葆光塔碑」(忠清南道所在)を現地に調査し、楷書体の見事にして新羅・唐文化交流の精華と言えるこの碑銘に代表される「四山碑銘」を主とする崔致遠の作品を通して、新羅の歴史・文化の研究に新知見を拓いている。また、柴田は慶州と釜山地域において、崔致遠の足跡を訪ね、崔致遠作品の儒学的側面の研究を進めている。静永は韓国古代の漢文学に見られる白居易に代表される唐代の漢詩作品の受容の諸相を発掘している。 2.〔研究交流〕韓国において「崔致遠の哲学」的研究をリードする張日圭氏の最新の研究成果である「崔致遠の儒教的政治理念と社会改革案」(『韓国古代史研究』38、2005年6,月)を、また、中国の研究では梁太済氏の「崔致遠及其筆下的唐和新羅関係」(『中国江南社会与中韓文化交流』杭州大学韓国研究所、1997年6月)と党銀平「新羅文人崔致遠与唐末文士的交遊」(『中国古代・近代文学研究』中国人民大学、2005年5月)を翻訳し、最近の韓中における崔致遠作品をめぐる韓中文化交流研究の視点を探った。この文献上の研究交流とともに数度の訪韓と訪中において韓中の研究者と実際的な研究視角の交流も進めた。 3.〔研究報告〕濱田は研究院主催の市民を対象とした社会連携セミナー(2005年10月22日)「朝鮮半島の歴史と文化」において「新羅の文人官僚・崔致遠の人と作品」を報告し、崔致遠の人と作品は同時代の我が国の文人官僚である菅原道真と十分な比較研究の対象であることを紹介した。また、九州史学会大会・朝鮮学部会(2005年12月11日)において「孤雲崔致遠の作品研究-四山碑銘と漢詩を中心に-」と題する研究報告を行い、崔致遠の人物と作品研究についての諸課題を紹介し、「崔致遠研究」の意義を提起し、我が国における「東アジア文化交流」の研究に「朝鮮古代における漢文学と儒学の受容とその変容」の視角を組み入れることで、研究がより深化することを説いた。
|
Research Products
(6 results)