2006 Fiscal Year Annual Research Report
統合的レキシコン理論の開発と言語学教育への応用研究
Project/Area Number |
17320067
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
影山 太郎 関西学院大学, 文学部, 教授 (80068288)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浦 啓之 関西学院大学, 文学部, 教授 (40283816)
杉岡 洋子 慶應義塾大学, 経済学部, 教授 (00187650)
岸本 秀樹 神戸大学, 文学部, 助教授 (10234220)
由本 陽子 大阪大学, 大学院・言語文化研究科, 助教授 (90183988)
中谷 健太郎 甲南大学, 文学部, 助教授 (80388751)
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Keywords | 語彙概念構造 / クオリア構造 / 複合語 / 多義性 / 意味 / 格標示 / 統語構造 / 語形成 |
Research Abstract |
【影山】英語・タイ語・ハンガリー語などの結果構文を分析し,主動詞のクオリア構造に示された意味情報から結果述語の分布が予測でき,また,その意味情報によって結果構文の統語構造が決定されることを明らかにした。一般に不可能とされる外項を抱合する複合語を調査し,属性叙述という特別な性質を有することを解明した。日本語受身文と英語get受身文について概念構造と統語構造の対応関係と相互作用を考察した。【杉岡】日本語のECM構文と複雑述語形成の関係を分析し,主観的事象の記述に特有の意味特徴や,小節構文と形容詞につく動詞化接辞に見られる意味的・語彙的に緊密な関係を明らかにした。【岸本】述語とその項の関係について検討し,述語の表す意味に移動や状態変化のようなクラスを設ける必要があることと,述語の意味と項の標示の形式の間に相関関係があることを明らかにした。【由本】日本語の統語的複合動詞の統語的側面に焦点をあて,複合動詞の後項動詞が,前項動詞の代わりに事象を表す名詞を目的語とした場合の格標示やθ付与について分析した。【中谷】テ系複雑述語や結果述語といった複合的述語をリアルタイム文理解の予測可能性という観点から検討し,複雑述語の項構造が融合的であることを明らかにした。【板東】日本語動詞「つく」と「つける」の多義性に関して,多義に共通する抽象的な基語を仮定し,潜在項を含むその共通基語の語彙概念構造から多義が派生されるメカニズムを提案した。【浦】動詞および動詞句が表す意味的な要素である事象タイプや完結性が,統語的に離れた名詞句に動詞が格を与える時の局所性にも影響することを幾つかの言語で発見した。【小林】救済や建築を表す漢語サ変動詞を分析し,語彙による意味・用法の相違や新しい用法を明らかにした。
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