2005 Fiscal Year Annual Research Report
平仮名字体・書体の変容と印刷技術および出版メディアとの関係に関する歴史的研究
Project/Area Number |
17320071
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
鈴木 広光 奈良女子大学, 文学部, 助教授 (70226546)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢田 勉 神戸大学, 文学部, 助教授 (20262058)
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Keywords | 国語学 |
Research Abstract |
平成17年度は活字版の資料調査・収集、研究方法の開発等の研究基盤整備を行った。 1.研究代表者(鈴木)は、古活字の平仮名字体・書体調査のサンプル選定を行った。嵯峨本については国立歴史民俗博物館所蔵の『伊勢物語』(慶長13年再刊本)が、他の古活字版については様々な作品での木活字の襲用が確認される『徒然草』(国立歴史民俗博物館蔵)が適切であることが判明したので、両書を書誌調査し、1600万画素デジタルカメラで撮影した。画像は原資料に対し300dpiの精度を確保し、RAWデータからTIFへの変換、幾何変形等の画像整形を行った。このデジタル画像データにもとづき、現在、使用活字総数の確認および字母の使用頻度調査を継続中である。 2.研究分担者(矢田)は、整版本の平仮名字体・書体調査に必要な書目選定・購入および調査収集行った。その結果、さまざまな時期・ジャンルのものから、各書物の書体特徴を考慮して凡そ10ジャンル、30種程度のサンプルを選定し、古書の現物を入手した。字体・書体研究の画像解析のため、現物を解像度の高いスキャナで取り込んでデジタル画像化の作業を継続中である。 3.連綿字数の減少、字形の横縦の比率、文字の大きさの平均化、同一字体内での字形の均一化などの通時的推移を調査することを確認し、その数値化の方法について検討した。その結果、画像研究ツール・イパレットネクサスに上記の項目を数値化するための機能を追加し、その開発をツール開発者津田光弘氏に依頼することにした。
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