2006 Fiscal Year Annual Research Report
平仮名字体・書体の変容と印刷技術および出版メディアとの関係に関する歴史的研究
Project/Area Number |
17320071
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
鈴木 広光 奈良女子大学, 文学部, 助教授 (70226546)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢田 勉 神戸大学, 文学部, 助教授 (20262058)
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Keywords | 国語学 |
Research Abstract |
(1)研究代表者(鈴木)は、組版原理の異なる二種の古活字版『徒然草』について、木活字規格のあり方の違いと平仮名の書体、連綿の仕方等の違いとの相関関係を明らかにするための調査を行なった。18年度は烏丸本『徒然草』(内閣文庫蔵の二本)の印字調査を、重点的に行なった。該書については、整版本とする説もあるが、デジタル画像から印字を切り出し、重ね合わせて字様判定を行った結果、同一字形の印字が複数回現れること、特に同一箇所に欠損のある印字が確認されたことから、木活字による印刷であることが明らかになった。この点については、論文「嵯峨本『伊勢物語』の活字と組版」(『近世文藝』84)に指摘した。また他の古活字版のほとんどが一元的な規格で活字製作がなされているのに対して、同書は文字の長さに合わせた活字であることから、連綿仮名の伸縮自在さが版面に実現されていることが確認できた。さらに、古活字版の仮名書体について得られた知見を、『歴史学事典』第14巻(2007年5月刊行予定)の執筆項目「印刷術」「活字」に反映させた。 (2)研究分担者(矢田)は、17年度に入手した江戸時代の整版本30種をスキャニングしてデジタル画像データ化する作業を継続して行なうとともに、平仮名の印字を(連綿はそのままにして)矩形で切り出し、電子付箋に連綿の仕方、書体特徴等の情報を盛り込んでデータ・ベース化する作業を行った。 (3)精密デジタル画像から印字を矩形で切り出し、仮名活字の書体特徴(連綿の仕方、縦横比等)の情報を電子付箋を付けてデータ・ベース化するソフト「イパレット・ネクサス」を、より研究目的にあった形にするために、開発者(津田光弘氏)と協議を重ね、ヴァージョン・アップした。
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Research Products
(1 results)