2006 Fiscal Year Annual Research Report
機能的脳イメージングによる言語処理機構の解明:文法と単語を中心として
Project/Area Number |
17320089
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Research Institution | Seijo University |
Principal Investigator |
窪田 三喜夫 成城大学, 文芸学部, 教授 (60259182)
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Keywords | 近赤外分光法 / 言語脳科学 / 言語処理 / 発話 |
Research Abstract |
研究目的 本研究では、機能的脳イメージング装置である近赤外分光法(NIRS)と、ノイズ信号を除去するために筋電図測定器を用いて、言語を産出した場合にどのような時間的なタイミングで言語発話関連成分が検出されるのか、半球の差異は生じるのであろうか、言語発話に関連する脳部位はどこか、という側面を実証的な脳科学研究により、明らかにする。 1.時間サンプリングを40ミリ秒ではなく、日本で最速の25ミリ秒にして、計測データ収集が可能であるか。 研究テーマ 2.言語発話には、左半球のブローカ野が活性化されるという先行研究があるが、果たして、そうなのか。 3.ブローカ野のBA44とBA45で、活性化のレベルが異なるのか。 4.MEGでの言語発話成分が160ミリ秒という先行研究と同じ結果が今回のNIRS実験で得られるのか。 主な実験結果 1.文章ではなく、句単位の言語発話に対する脳内言語反応として、平均125ミリ秒で、酸化ヘモグロビン変化量(OxyHb)が最大となった。 2.この言語発話成分は、両半球で同じ結果が得られ、超早期の成分では半球差が見られなかった。 3.ブローカ野のBA44とBA45の活性化レベルの差異はなかった。 4.サンプリング時間が25ミリ秒のNIRSと、1ミリ秒のMEGと直接比較はできないが、ほぼ同じタイミングであり、酸素供給を示す酸化ヘモグロビン変化量が増加したことから、母音持続を継続させるには、酸素供給が必要ということが明らかになった。 本研究の意義 本研究では、25ミリ秒という極めて高い時間分解能によって、言語発話の処理過程成分の検出が近赤外分光法により判明した。左半球のみならず、両半球のブローカ相当部位で、超早期のタイミングで発話成分の存在が明らかになり、更に音素のタイプによって、酸素交換の仕方・度合いが異なることが示された。
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Research Products
(2 results)